種別 | 論文 |
主題 | 鋼繊維補強コンクリート梁の疲労性状 |
副題 | |
筆頭著者 | 宍戸薫(東京都土木研究所) |
連名者1 | 関口幹夫(東京都土木研究所) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 5 |
号 | |
先頭ページ | 9 |
末尾ページ | 12 |
年度 | 1983 |
要旨 | まえがき コンクリートのぜい性的性質を改善する目的で、鋼繊維補強コンクリート(以下SFRCと記す)が多方面で研究・開発され、実用化もされている。筆者らは、このSFRCを一般の鉄筋コンクリート(RC)部材に適用することを考えて、RC部材における鋼繊維の挙動を実験的に調べてきた。それによると、SFRCは鉄筋の補強効果との相乗効果を発揮し、次のような特性が明らかにされた。 (1)ひびわれの分散牲に富み、ひびわれ幅が小さい。 (2)中立軸位置が下方にさがり、曲げ剛性が大きくなる。また、荷重の増加に伴う剛性の低下割合が小さい。 (3)終局耐力が増加し、破壊時においても、”じん性”に富む。 これらの鋼繊維混入効果のうち、もっとも顕著な効果は、ひびわれの分散機能であり、そのメカニズムは鋼繊維とモルタル(コンクリート)との付着力に起因することも実験的に明らかにされている。ところで、これらの鋼繊維混入効果はすべて静的載荷時におけるものである。SFRCは材料学的に見て動的強度にすぐれているため、RCとSFRCとの複合部材としての疲労性状も一般のRC部材よりも改善されるものと考えられる。しかしながら、既往の報告をみても、SFRC部材の疲労性状については明確にされていない。そこで本報は、RC部材にSFRCを適用したときの疲労性状を、一般のRC部材と比較検討を行い、鋼繊維の有効性について論じる。 結論 SFRCを用いたRCバリと一般のコンクリートを用いたRCバリの相異点を実験的に検討し、鋼繊維の繰返し荷重下における挙動を調べた。結果を要約すると次のとおりである。 (1)終局耐力の1/3程度の、常用される応力レベルでの疲労載荷では、鋼繊維混入効果は静的載荷時と同等であり、200万回の疲労載荷後も、その効果は持続される。 (2)終局耐力の2/3以上の応力レベルになると、繰返し載荷の増加に伴い、鋼繊維混入効果は滅少する。したがって、SFRCを用いたRCバリは、一般のコンクリートを用いたRCバリと同じ曲げ性状を呈することになる。 このことから、疲労載荷時における鋼繊維混入効果は、必ずしも静的載荷時とは同一ではなく、応力レベルの影響を受けるといえる。本報文では、どの程度の応力レベルまで鋼繊維混入効果が維持でさるのかという境界点は明らかにされていない。今後、このような境界点を実験的に把握することが課題となるであろう。 |
PDFファイル名 | 005-01-0003.pdf |