種別 論文
主題 パイプ・クーリングにおける管壁面の熱伝達係数についての検討
副題
筆頭著者 田辺忠顕(名古屋大学工学部)
連名者1 溝渕利明(名古屋大学大学院)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
5
先頭ページ 73
末尾ページ 76
年度 1983
要旨 序論
マスコンクリートの熱応力の制御手法には、各種のものがあるが、パイプクーリングはその中でも重要な制御手法の一つといえる。このパイプクーリングを効果的に実施するためには、事前にパイプ鋼の最適なレイアウト最適な流速、最適な初期水温等を把握する必要がある。従来からこの事前解析に使用されている手注は、U.S.A Bureau of Reclamation の Boulder Canyon Project Final Reportに報告されている手法であるが、この手法については、その理論的厳密さ、使用された仮定の妥当性について諸々の問題点があり、その改善が望まれていた。
最近これらの問題点を考慮に入れて、実際の挙動に則したクーリング効果の解析を求める研究が為されつつあり、著者らは前に定常熱伝導方程式のグリーン関数を求め、パイプ内の熱収支とコンクリートの熱収支とから支配積分方程式を導き、数値解析し、報告した。
この解析手法に基いて熱伝導方程式を解く事により、境界が矩形である限りかなり厳密解が求められるが、次の点にまだ問題がある。
(1)グリーン関数の収束性は、構造物の形状により非常に悪くなる。
(2)複雑な構造物、あるいは複雑な施工工程を有するものでは、適用がかなり困難である。
本研究では、いかなる形状のブロックについてもクーリング効果を解析できるよう三次元有限要素法による定式化を行った。コンクリート場については、三次元非定常熱伝導方程式を適用し、パイプと熱伝達境界条件を考慮し、パイプ内の水の熱収支に関しては、独立にもう一本の微分方程式を導き、これらの方程式群にガラーキン法を適用した。更に、この手法を用いて、計算値と実験結果との比較を行い、クーリングパイプ壁面の熱伝達係数を決定した。
結論
大型マスコンクリート構造物の熱応力制御は、重要な技術的要目であり、プレクーリングやパイプクーリング等各種の手法がある。この中でも最も効果の大きいのはパイプクーリングであり、本格的な熱応力制御には必要不可欠な手段といえる。
本研究はパイプクーリングによる水とコンクリートの熱交換過程を、あらゆる温度変動場、境界形状について、理論的解析ができるようにガラーキン法を用いて有限要素法の定式化を行い.その数値解を求め、実験値との比較より、各種のパイプ内の水の流速における熱伝達率を求めた。そして、先に求めたグリーン関数解から求めた値と比較したこのまったく異なる二つの手法において、熱伝達率がほぼ一致したことにより、本理論解析の有効性を確認し、同時に、理論解析に使用すべき熱伝達率も明らかにすることができた。今後、本手法を用いて、最適のクーリングレイアウト・時期流速、初期温度等を、設計に便なるように、数値実験から求めていくことが必要である。
PDFファイル名 005-01-0019.pdf


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