種別 | 論文 |
主題 | 微小モルタル供試体の引張強度特性について |
副題 | |
筆頭著者 | 鮎田耕一(北見工業大学工学部) |
連名者1 | 林正道(北見工業大学工学部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 5 |
号 | |
先頭ページ | 121 |
末尾ページ | 124 |
年度 | 1983 |
要旨 | まえがき 寒冷地のコンクリート構造物は凍結融解作用を受けることによってスケーリングを発生しやすい。スケーリングの発生はコンクリート露出面の引張強度に影響されると考えられるので、本研究では徹小モルタル円柱供試体を用いて露出面の引張強度特性を把握することを試みた。ここで用いた徹小供試体の直径は1〜5cmであり、小さい供試体ほど外部からの影響を受けやすく露出面により近い部分の性状をあらわすことになる。既報のセメントの結合水量の試験結果から、この微小供試体の大きさの範囲で露出面からおおよそ1cm以内の深さの強度性状をあらわしていることが明らかにされている。 さて、コンクリート露出面の強度は湿潤養生を十分に行えば材令とともに増加するが.養生を終えた部材は表面から徐々に乾燥するため内部に比べて乾燥面の水和が遅れ.強度の増進が内部ほど期待できないことが想像される。一方、凍結作用は露出面に近いほど激しいので強度の小さい露出面ほど厳しい環境にさらされることになる。そこで本研究ではまず乾燥が露出面の引張強度に及ぽす影響を明らかにした。また、北海道の海岸・港湾コンクリート構造物には混合セメントか多く用いられているとともに、スケーリングも多く発生している2)ので、引張強度発現に及ぼす海水の影響とフライアッシュ含有量の影響についても検討した。 結論 寒冷地のコンクリート構造物のスケーリングの発生、進行に影響をを汲ぼす露出面の引張強度性状を明らかにするために直径が1〜5cmの微小モルタル円柱供試体を用いて強度試験、細孔構造の測定を行った。この実験の範囲で得られた結論を要約すると次のようになる。 (1) 強い乾燥(湿度25%、30℃)のもとでは露出面の引張強度の発現は停滞し、材令91日強度は水中養生(20℃)の1/2以下である。湿度50%(20℃)の乾燥状態でも引張強度の発現は停滞するが、露出面にごく近い部分は炭酸化のためにやや深い部分に比べると引張強度は大きくなる。 (2) 海水の作用を受ける場合、露出面にごく近い部分の引張強度の発現は材令7日以降停滞する。 (3) 乾燥あるいは海水の作用を受ける露出面の引張強度が小さい原因として、硬化したセメントペースト中の毛細管空げきが水中養生の場合に比べて多く、かつ大きいことがあげられる。また、このことは低温下で毛細管水の凍結点を上昇させる働きもしていると考えられる。 (4) セメントの代替としてフライアッシュを混和した場合の引張強度は、若令では混和しない場合に比べて小さいが、長期的には同程度になる。 |
PDFファイル名 | 005-01-0031.pdf |