種別 論文
主題 収縮低減剤を用いたコンクリートの乾燥収縮およびひびわれに関する実験研究
副題
筆頭著者 富田六郎(日本セメント中央研究所)
連名者1 後藤孝治(日本セメント中央研究所)
連名者2 酒井公サン(三洋化成工業第三研究部)
連名者3 茂庭孝司(日本セメント中央研究所)
連名者4  
連名者5  
キーワード
5
先頭ページ 181
末尾ページ 184
年度 1983
要旨 まえがき
コンクり−トの乾燥収縮を毛細管中の水が逸散するときに発生する毛細管張力によるものと推論した報告はいくつかみられ、その他にも乾繰収縮機構を説明する理論が種々報告されてきた。しかし、中高湿度域においては毛細管張力説が収縮機構を説明しやすく、有力な説といわれている。毛細管張力には水が逸散する空隙の半径および水の表面張力が関与し、前者は理論上外気の湿乾条件とバランスした値となる。すなわち、この説明によれば、相対湿度が高く、また毛細管中の水の表面張力が小さくなるに従って乾燥収縮が小さくなるといえる。本報告は、骨材品質の低下および施工性に関連したワーカビリチーの確保によってもたらされる単位水量の増大等が引き起す収縮ひびわれの問題に対処することを目的に行われた一連の研究の一部であり、セメントの溶液中で水の表面張力を大巾に低減する特殊な界面活性剤(収縮低減剤と称する)をモルタルおよびコンクリートに混和することによって、主として乾燥収縮に及ぼす影響を検討したものてある。
結論
特殊な界面活性剤である収縮低減を用いて練りまぜ水の表面張力を低下させると、その効果に応じてモルタルの乾燥収縮を低減できることを実験的に証明し、乾燥収縮を毛細管張力理論で説明できる可能性を提示した。
また、1種類の収縮低減剤について行ったコンクリート試験の結果、収縮低滅剤を用いると空気の連行および凝結・硬化の遅延による若干の強度が低下が派生するものの、使用量に比例して乾燥収縮を大巾に低減でき、このことによって収縮ひびわれ防止の面でも効果を発揮することが判明した。なお、コンクリートにおいて収縮低減剤を6%迄用いたときの諸物性への影響をまとめると、概略以下の通りであった。
(1)2〜6%使用すると空気量は1%程度増加する。また、この程度は水セメント比によって異なる。
(2)圧縮強度、引張強度とも低下する傾向を示し、収縮低減剤を用いない基準コンクリートに対するその低下割合は、標準養生材令28日で収縮低減剤1%の使用につき2〜4%である。強度低下の主因は空気量の増加、および凝結・硬化の遅延と考えられる。
(3)材令7日迄水中半生した後20℃60%RHの雰囲気で乾燥したコンクリートの材令20〜39週における乾燥収縮は、1%使用するごとに約0.5×10-4減少し、6%の使用で基準コンクリートに対して3×10-4を超える収縮低減が計れる。また、膨張材の収縮低叔効果も累加的に発揮され、収縮低減剤6%および膨張剤35kg/m3を併用すると、基準コンクリートに対し材令20週の乾燥収縮を45%低減できる。
(4)内部拘束小型供試体によるひびわれ発生試験では、乾燥収縮を低減した割合に比例してひびわれ発生を遅延する効果を発現し、条件によってはひびわれを防止できる。
PDFファイル名 005-01-0046.pdf


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