種別 | 論文 |
主題 | 水溶性高分子の混和によりブリ-ジングを抑制したコンクリートの性質 |
副題 | |
筆頭著者 | 中里吉明(鹿島建設国際事業本部) |
連名者1 | 本橋賢一(鹿島建設技術研究所) |
連名者2 | 大野俊夫(鹿島建設技術研究所) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 41 |
末尾ページ | 44 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.はじめに ブリ-ジングは、まだ固まらない状態においてコンクリートを構成する材料の比重差が原因となって、水が上昇する現象であり、これを制御することは一般に困難とされていた。 筆者らは、ある種の水溶性高分子がモルタルや注入材の保水性を向上させる性質を有することに着目し、水溶性高分子を混和することによりコンクリートのブリ-ジングを抑制する研究を行ってきた。その結果、セルロ-スエ-テルを主成分とする水溶性高分子(以後、SP-Aと略称する)を単位水量の0.6%添加すると、ブリ-ジング率は検出できないほど小さくなることが明らかとなった。 本報文は、水溶性高分子SP-Aの添加がブリ-ジングをはじめとしてコンクリートの基本性質に及ぼす影響を検討した実験結果と、SP-Aの添加によりブリ-ジング率が検出できないほど小さくなったコンクリート(以後、ノンブリ-ジングコンクリートと呼ぶ)のクリ-プ・乾燥収縮などに関する実験結果を報告する。 4.まとめ セルロ-スエ-テルを主成分とした水溶性高分子(略称SP-A)を混和することによりブリ-ジングを抑制したコンクリートの性質を検討した。実験結果をまとめると以下のとおりである。 (1)水溶性高分子SP-A及び消泡剤DA-Xを単位水量に対してそれぞれ0.6重量%及び0.05〜0.10容積%添加することにより、ブリ-ジング率が検出できないほど小さく、かつ空気量が3〜4%程度であるコンクリートが得られた。これを、ノンブリ-ジングコンクリートと呼ぶ。 (2)ノンブリ-ジングコンクリートは単位水量の等しい無添加コンクリート(SP-A、DA-Xとも無添加)とほぼ同様のスランブを示した。しかし、ノンブリ-ジングコンクリートは粘性が大きく、ポンプ圧送性や振動締固めのし易さは同一スランプの無添加コンクリートに比べてやや劣ると思われた。 3)ノンブリ-ジングコンクリートの圧縮強度は、水セメント比とまだ固まらない状態における空気量とから求めたセメント空隙比が等しい無添加コンクリートのそれと同様であった。圧縮強度と引張強度及び静弾性係数との関係は、ノンブリ-ジングコンクリート無添加コンクリートにかかわらず同様であった。 (4)ノンブリ-ジングコンクリートは無添加コンクリートに比へて、1 クリ-プが約15%大きい、2 乾燥収縮が約35%大きい、3 凍結融解抵抗性がやや劣る、という結果を示した。したがって、これを使用する場合には、構造物の種類や環境条件を考慮する必要があろう。 ノンブリ-ジングコンクリートは、逆巻工法における打継目の品質を改善することを目的として検討したものである。ブリ-ジングに起因するコンクリート構造物の欠陥や品質不良は、逆巻工法における打継目の品質不良以外にも様々なものがあり、ノンブリ-ジングコンクリートはこれらの課題を解決する一策となると考える。 |
PDFファイル名 | 006-01-0011.pdf |