種別 論文
主題 鉄筋コンクリートの環境塩害荷重の推定
副題
筆頭著者 川上英男(福井大学工学部)
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キーワード
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先頭ページ 153
末尾ページ 156
年度 1984
要旨 1.まえがき
 鉄筋コンクリートに含まれる塩分には、海砂の使用により新築当初より内在する場合と、その後海浜環境より浸透蓄積する場合とがある。この後者による塩分浸透量が海砂の使用塩分限度に比べて格段に大きい場合があることは既に報告が見られる。この塩分浸透量は鉄筋コンクリートの躯体材質、仕上げの材質、経過年数によって異なることは勿論であるが、塩害荷重(その環境の塩分濃度)の大小が原因である。すなわち環境塩害対策にとって塩害荷重把握が先決である。ところがこの環境塩分濃度は気候や季節によって異なる。例えば北陸地方では冬期は北西の季節風が強く、海塩の影響は遠くまで及ぶ。したがって塩害荷重としては長期間にわたる塩分集積量を対象とする必要がある。本報告はその塩害荷重実態の把握の一手段として、黒松樹皮に含まれる塩分量の地域的分布を調査したものである。この黒松樹皮を用いる方法のメリットは、コンクリート試験体を長期間当該地に設置する方法に比べて塩害荷重を予測する資料が比較的簡単且つ即時に得られる点にある。
5.むすび
 以上の調査研究の結果明らかになった点をまとめれば次のようである。
1)黒松樹皮の塩分含有量は海岸に近い程大きいこと、また海岸から遠ざかる程減少するが、その減少の度合は本調査地域では海岸より約500m程度までは急激で、それより離れた範囲では緩慢になる。
2)海岸からの距離と黒松樹皮の塩分量との関係を両対数目盛グラフ上に表わすと2km以内ではほぼ直線的関係にあるものとみなすことができる。
3)この関係は調査2地域ではやや差があり、塩害荷重の地域性を示唆している。海岸での塩分量に比べて500mでは約1/4に、1〜1.2kmの距離になれば約1/10に減少する。
4)5ケ月曝露のモルタルの塩分含有量と海岸よりの距能との関係は、ほぼ上記樹皮塩分量と対応している。すなわち、樹皮塩分の地域的分布をもってモルタルの浸透塩分の地域的分布とおおよそ対応するものとみなされる。
5)塩害荷重の大小をモルタルやコンクリートで決定するには長期間を要するが、樹皮塩分をもってすれば、広範囲にわたって短期間に塩害荷重の大小を把握することが可能と考えられる。
PDFファイル名 006-01-0039.pdf


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