種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋腐食によるコンクリート構造物の劣化機構に関する基礎的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 魚本健人(東京大学生産技術研究所) |
連名者1 | 辻恒平(東京大学生産技術研究所) |
連名者2 | 柿沢忠弘(東京大学大学院) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 173 |
末尾ページ | 176 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.はしがき 近年、塩分環境下におけるコンクリート構造物中の鉄筋腐食に関する研究結果が数多く発表されているが、鉄筋腐食によるコンクリート構造物の劣化機構に関してはまだ十分明らかにされていないのが現状である。一般に、コンクリート構造物中の鉄筋が腐食すると、鉄筋の有効断面積が減少するのみならず、コンクリートとの付着強度の低下、コンクリートのひびわれの発生、構造物としての耐力低下や剛性低下などが生じるため、補修・補強工事を施こすことが必要となる。しかし、その場合に重要なことは劣化した構造物がどの程度の劣化段階にあるかを判断し、どのような補修・補強を行えば良いかを見きわめることである。このためには、(1)鉄筋腐食によるコンクリート構造物の劣化機構、ならびに、(2)補修・補強の有効性を解明することが必要である。 本研究は、上記の考えに基づき、鉄筋腐食によるコンクリート構造物の劣化機構を明らかにすることを目的として、特に鉄筋が腐食し始めた後の劣化機構について、モデル実験ならびに解析による基礎的な検討を行ったものである。 7.結論 厳しい塩分環境下での鉄筋腐食によるコンクリート構造物の劣化は次のように考えることができると思われる。 (1)塩分の作用等により鉄筋が腐食すると、鉄筋との付着が低下し、鉄筋近傍からひびわれが生じる。 (2)鉄筋近傍からのひびわれがコンクリート表面まで到達するといわゆる縦ひびわれとなり、鉄筋は局部的に腐食する。 (3)鉄筋間隔が小さいと、鉄筋と鉄筋を結ぶひびわれとなり、著しい場合にはかぶりコンクリートが剥離する。 (4)縦ひびわれやかぶりコンクリートの剥離が生じると鉄筋の付着力が抵下し、構造物の耐力は激減する。 以上のことをまとめると、構造物の劣化は図-11に示すように縦ひびわれ発生前と後では大きく異なり構造物としての安全性は著しく低下すると考えられる。このため、鉄筋のかぶりを大きくし、水セメント比の小さなコンクリートを用いることは、外部からの塩分の浸透を防止する上で重要なばかりでなく、急激な構造物の耐力低下をまねく縦ひびわれの発生を遅らせる上からも重要である。なお、プレストレストコンクリートの場合、曲げひびわれは発生しにくいが、鋼材が腐食した場合には縦ひびわれの防止にはならないことになる。 |
PDFファイル名 | 006-01-0044.pdf |