種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋のかぶり厚さの信頼性設計による耐久性向上技術の提案 |
副題 | |
筆頭著者 | 和泉意登志(竹中工務店技術研究所) |
連名者1 | 嵩英雄(竹中工務店技術研究所) |
連名者2 | 友沢史紀(建設省建築研究所) |
連名者3 | 福士勲(住宅都市整備公団住宅都市研究試験所) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 185 |
末尾ページ | 188 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.まえがき 鉄筋コンクリート構造物は、従来耐久性に優れたものとの社会的評価がなされてきたが、近年の劣化故障の顕在化により、期待されている耐久性が確保されているかどうかについて疑問が生じ、懸念もされている。劣化故障としては.アルカリ骨材反応による膨張ひびわれや塩害による鉄筋腐食など特殊な場合の故障もとりざたされているが、一方では一般環境下においてコンクリートの中性化が進み、内部鉄筋が腐食するという故障事例が増加している。一般環境下における鉄筋腐食は、中性化深さと鉄筋のかぶり厚さの相対関係によって決定される。 鉄筋コンクリート構造物の鉄筋のかぶり厚さについては、日本建築学会や土木学会等によって最小値が規定されているが、これらの規定は絶体判定法であり、統計的な考え方は盛込まれてはいない。実際の現場施工においては当然かぶり厚さにばらつきがあり、規定の最小値を完全に満足するためには非常に大きな値に設計値を設定しなければならないが、その他の設定手法についても確立されたやり方がないのが現状であり、このため実際の運用面では、最小値かまたは若干の割増しした値を設計目標値として施工しているのが実状であろう。このような現状においては、かぶり不足の鉄筋がある確率で出現することになり、所定の期間に達しないうちに鉄筋腐食が生じ、コンクリートのひびわれやはく落の原因となり、更には鉄筋の断面欠損に至り部材耐力が低下することになる。鉄筋コンクリート構造物の品質を長期にわたって保証していくためには、物理的な耐用年数や劣化故障を定量的に定義し、信頼性工学に基づいた設計・施工を実施していく必要があると考える。 5.まとめ コンクリートの中性化深さと鉄筋のかぶり厚さのばらつきを統計的に考慮し、鉄筋が腐食する確率で鉄筋コンクリート構造物の設計耐用年数または腐食故障を定量的に定義する方法とその具体的使用方法について述べた。 本方法は鉄筋のかぶり厚さの信頼性設計手法として今後新設される鉄筋コンクリート構造物の耐久性の向上に活用可能であるとともに、既存構造物の耐久性診断、余寿命の推定にも応用できるものであると考える。しかし本方法を実際の設計や診断に用いるためには、耐用年数や鉄筋腐食故障を定義する腐食確率の改定値をどう取るかという社会的コンセンサスが不可欠で、今後の課題として残っている。 |
PDFファイル名 | 006-01-0047.pdf |