種別 | 論文 |
主題 | アルカリ反応性骨材の岩石学的考察 |
副題 | |
筆頭著者 | 森野奎二(愛知工業大学工学部) |
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キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 241 |
末尾ページ | 244 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.まえがき わが国のアルカリ骨材反応による被害は、長崎、村山両橋(使用骨材中の有害な岩石名:頁岩、浮岩)、港防波堤(同:火山灰)、中国電力鉄筋コンクリートパラペット(同:斜方輝石角閃石安山岩)、コンクリート構造物3例(同:ハリ質古銅輝石安山岩)、および関西地方各所のコンクリート橋脚他数例(斜方輝石安山岩)、のように何らかの形で火山岩に関わっている。このことは、わが国が火山国であること、そして火山岩の中には、トリジマイト、クリストバライト、および火山ガラスなどの反応性物資を含むからにほかならない。 中でも、最近の被害例は、安山岩砕石によるものである。安山岩砕石の全砕石製品に占める割合は、例えば、昭和5年度では、生産量で29%(約1億4百万トン)、工場数で36%(748工場)もあり、全体からみれば、ほんの一部の砕石に問題があったに過ぎないと言える。しかし、安山岩は成因的に、上記の反応性鉱物を含み易いものであるから、反応そのものはコンクリート中でしばしば起こっていると考えられる。ところが、実際のコンクリートに被害が認められなかったのは、第一に反応性鉱物が有害量含まれていなかったからであろう。この有害量については、岩石中に含まれる反応性鉱物の量の他に、骨材の粒度、セメントのアルカリ量など、人為約な要因も加わるもので、いわゆるペシマムに支配される。そのため、アルカリ量かあるいはその他の条件が満たされなかったのであろう。第二にコンクリートが膨張してひびわれの発生するような被害が現われるには、外部から水分が供給され続ける必要がある。第三に、元来コンクリートには、収縮、凍結融解作用、鉄筋の腐食などによるひびわれが発性するので、アルカリ骨材反応に関心のないときには発見され難いという側面があった、などの理由によるのであろう。いずれにしても今後、被害が現われないようにするためには、何よりもわが国の反応性鉱物を含有した骨材についての認識を深める必要がある。そこで反応性骨材そのものを岩石学的に詳しく観察し、検討してみた。 4.結論 (1)反応性骨材を産出する地質には比較的安定な場合と極めて狭い範囲でも著しく変化する場合がある。 (2)反応性骨材は骨材中にひび割れ、反応環及び反応生成物を生じ劣化する。反応環だけがみられる場合は劣化は少ないが、上記3種が共存していると劣化は著しい。 (3)アルカリ・シリカ反応は、最初に生じる不定形、平滑塊状の形態をした物質から、二次的に生成する小突起状、花弁状、針状、繊維状、網目状、小板状集合体等の多様な形態 をした鉱物の生成によって、一層大きな膨張が起こる。 |
PDFファイル名 | 006-01-0061.pdf |