種別 | 論文 |
主題 | コンクリート用砕石のアルカリ・シリカ反応による膨張 |
副題 | |
筆頭著者 | 二村誠二(大阪工業大学工学部) |
連名者1 | 福島正人(大阪工業大学工学部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 245 |
末尾ページ | 248 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.まえがき アルカリ骨材反応が米国のT.E.Stantonによって発見されたのは1940年である。現在では、アルカリ骨材反応はアルカリ・シリカ反応、アルカリ炭酸塩岩反応、アルカリ・シリケ-ト反応に分類されるに至っている。これらの概要はG.E.Gillotによって総括されているが、わが国で主として問題となるのはアルカリ・シリカ反応によるものである。 現在、阪神地区で問題となっているのはアルカリ・シリカ反応の原因となるクリストバライトを含有する輝石安山岩石である。この砕石を使用したコンクリート構造物に異常な膨張ひび割れが顕在化しだしたのは、この10数年ほどのことである。この社会的背景としては (1)工場間の差は相当に大きいようではあるが、セメント製造上の問題からアルカリ量が高濃度化の傾向にある。(阪神地区で使用されている主なメ-カ-10社の普通ポルトランドセメント市販品のR2Oは最小で0.51%、最大で0.98%であり、平均で0.89%である。) (2)阪神地区は細骨材として海砂の使用が主であり、これに含有されるNaCl等のアルカリ成分が、アルカリ・シリカ反応を促進させる要因となっている。 (3)海砂の塩分対策のために、富調合かつ低水セメント比のコンクリートが多用されることになり、間隙溶液中のアルカリイオン濃度が高くなってきている。 (4)コンクリート用粗骨材としての使用実績が少ない砕石であっても骨材の化学的安定性に対する検討がなされないまま使用されている。 (5)ポンプ工法による単位セメント量、単位水量の増加のため、コンクリート自体の品質が低下してきている。等が挙げられる。 そこで本研究は、コンクリート中のアルカリ成分が増大しつつある現状を考え、高アルカリ環境下におけるコンクリート用砕石のアルカリ・シリカ反応性について検討したものである。 4.むすび 今回の研究の結果をまとめると次のようなことが言える。 (1)骨材のアルカリ・シリカ反応の可能性を迅速に試験する場合にはASTMの化学方法と有害鉱物を判断できる粉末X線回折法等と組合わせて行なうことが望まれる。そして、同一産地の骨材でも外観上から分類できるものは、夫々についての検討を要する。 (2)セメント中のアルカリ濃度を高めた場合のモルタルバ-方法は安全側の結果を与えるが、セメント以外からのアルカリ成分の供給もあるので、一定の高アルカリ条件下での試験が望まれる。 (3)アルカリ・シリカ反応ではペシマムの混入率や粒度が存在するため、コンクリート用粗骨材に対する試験としてモルタルバ-方法を適用する場合には、これらを含めた検討が必要となる。 |
PDFファイル名 | 006-01-0062.pdf |