種別 論文
主題 繊維補強セメント複合板の引張特性
副題
筆頭著者 小林一輔(東京大学生産技術研究所)
連名者1 松崎薫(東京大学大学院)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 337
末尾ページ 340
年度 1984
要旨 1.まえがき
 本研究は、引張靭性のすぐれた繊維補強セメント系複合坂の開発を目的として実施したものである。一般に脆性材料マトリックスを用いた繊維強化複合材の引張靭性を向上させるためには、マトリックスにひびわれが生じた後の荷重伝達能力が優れている連続繊維の方が有効である。また、大きい延性を付与するためには、引張荷重が作用した場合にひびわれを多数発生させて、その間隔と幅を極力小さくする必要がある。連続繊維を用いた脆性材料の強化理論によれば、限界繊維量以上の連続繊維を用いることにより、いわゆるmultiple-crackingの状態をつくり出すことができるので、上記のような性状を有する複合材を得ることができる。このような観点から本研究では、マトリックスの性質・繊維の種類および繊維量が複合材の引張特性に及ぼす影響を検討した。
6.結論
 本研究の範囲内で以下のことがいえる。
(1)網目状連続繊維によって補強されたセメント系複合板は極めてすぐれた引張延性を有し、また著しく大きい引張変形を与えた場合にもひびわれを分散させる能力が大きいので、ひびわれ幅を小さい値にとどめ得ることが明らかとなった。引張耐力や弾性係数も含めたこれらの引張特性は、繊維の種類並びに体積混入率を変えることにより、所要の性能のものを得ることが可能となる。
(2)網目状連続繊維によって補強された複合板では、マトリックスにひびわれを生じても繊維によって引張力が伝達されるので耐力は低下せず、最終的には、繊維の破断によって複合体は破壊する。この間、マトリックスには最小ひびわれ間隔が、繊維のマトリックスに対する応力伝達長さ(x')に等しく、最大ひびわれ間隔が2x'となるようなひびわれを発生し、多数の微細なひびわれが分散して生ずることになる。、またx'を与える理論式から明らかなように、多数のひびわれを発生させるためには、繊維量を増すとともに、マトリックスとの付着特性のすぐれた補強材を用いる必要がある。網日状の繊維を用いた場合、横方向の繊維は、繊維量には寄与しないが、τを増大させる効果があると考えられる。
 なお、本研究の実施に当り、マトリックスとしてのポリマ-セメントモルタルの研究に関して御協力を頂いた恒和化学(株)ならびに試料を提供して頂いた三菱化成工業(株)、旭ガラス(株)ならびに東レ(株)に謝意を表する次第である。
PDFファイル名 006-01-0085.pdf


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