種別 論文
主題 多点載荷されるせん断補強鉄筋のないRCばりのせん断強度
副題
筆頭著者 小林茂敏(建設省土木研究所)
連名者1 森濱和正(建設省土木研究所)
連名者2 高橋正志(建設省土木研究所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 493
末尾ページ 496
年度 1984
要旨 1.はじめに
 昭和55年土木学会コンクリート標準示方書および道路協会道路橋示方書においてコンクリートの許容せん断応力度の改訂か行われ、はり状の構造物においては従来の約60%に、また版状の構造物にあっては約1/2に低滅された。フ-チング、擁壁等のせん断補強鉄筋のない版状の構造物にあっては、改訂された許容応力度を用いると断面厚さが2倍近くなるものもあり、従来からこの種の構造物にはせん断破壊と思われる損傷の発生事例が見られなかったこともあって、実務者に対しその必要性をとくのにはなはだ説得力を欠いた。実験結果を見るとせん断支間の長い構造物においては改訂された許容応力度程度のものを用いるのが妥当と考えられるのに実際には問題ないのは、上構造物は支間長に比べて厚さが比較的大きいこと、荷重が分布していることなどのために、せん断強度がせん断支間の長いはりの例から予測されるものよりも大きくなっているからであると考えられる。したがって、許容応力度の変更を行うならばせん断強度の照査方法も併せて変更すべきであると考える。
 せん断支間の大小をせん断強度に反映させる方法の例には次のようなものがある。
(1)せん断支間比により許容応力度を割増す。(道路橋示方書下部構造編)
(2)部材の最大モ-メント、せん断力比によって許容応力度を割増す。(大野、荒川式等)
(3)荷重の位置によって、荷車を低減してせん断力を計算する。(CEB等)
(4)照査位置によりせん断力を低減して計算する。(土木学会コンクリート構造の限界状態設計方指針(案))
各方法ともせん断支間の効果は、荷重の分布や使用している補正式ごとに異なるので、合理的でかつ有利なものを選んで使用すべきであると考えられるが、いずれの方式も分布荷重や多点荷重に対しては、比較的少ない実験値によってしか確かめられていないので、各方式の適合性や有利性を単純ばり、張出しばり、変断面張出しばりに多点載荷実験を行って考察した。
5.結論
 本実験結果から得られた結論は以下のようなものである。
(1)多点載荷される部材のせん断強度の増加量は、支点強度〜せん断支間長(M/Qまたは荷重重心から支点までの距離)の関係で整理した場合、せん断ひびわれ強度は片持ち(張出し)ばりと単純ばりとで異なった傾向を示し、片持ち(張出し)ばりは荷重を分散させても強度の増加量が少ない。
(2)岡村・桧貝のせん断ひびわれ強度式は、多点載荷の実験結果の下限値によく一致した。
(3)大野・荒川のせん断破壊強度式は、実験値に比べてやや安定側の値を示した。
(4)土木学会限界状態設計法(案)方式の照査方法に用いる照査位置による割増し係数(1/β)は、せん断ひびわれ強度の実験値の平均的な値を示している。
(5)上記方法に対する強度の割増し式としてa′=2-x/2d(1≦a′≦2、xは支点からの距離)を用いても、安全度は低くならないと考えられる。
 なお、(5)に示す割増しを採用すれは、等分布荷重のような場合には支点で許容応力度を2倍して照査し、支点から2dの位置で許容応力以下かを照査するだけですむ。支間8d以下の等分布荷重がのる単純ばりは支点のみでの照査でよく、許容応力度が2倍にとれ、旧示方書で版状の構造物が許容応力度を現行の2倍にとれた理由も説明できる。
PDFファイル名 006-01-0124.pdf


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