種別 論文
主題 鋼繊維補強鉄筋コンクリート(SFRC)短柱のせん断破壊性状に関する実験研究
副題
筆頭著者 田中彌寿雄(早稲田大学理工学部)
連名者1 金子雄太郎(西武建設開発部)
連名者2 矢代晴実(早稲田大学大学院)
連名者3 福島誠一郎(日本鋼管)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 517
末尾ページ 520
年度 1984
要旨 1.まえがき
 筆者らはこれまで鉄筋コンクリート(RC)短柱のせん断破壊性状において、コア部分の破壊に関与する要因として、Mattockらの実験に見られるすべり破壊が重要な影響を有していると考え、シアスパン比1.0のRC短柱に見られる対角ひび割れによるせん断破壊機構を解明するとともに、この種の破壊こ対する鋼繊維補強の効果を、実験研究に基いて検討してきた。この結果、鋼繊維はすペり破壊に対し効果があり対角ひび割れを回避するが、繰り返し加力を受けた場合、引張りに対する補強効果は少く、図1に示すようlこ亀甲型のひび割れを生して耐力が低下することを指摘し、鋼繊維補強と帯筋補強を併用することが重要であることを強調した。
 シアスパン比が1.5〜2.0のRC短柱は繰り返し加力により、曲けせん断、または付着割裂破壊によって終局状況に至ることが知られており、吉岡は接合トラスアナロジ-により、渡辺は付着弛緩に基く扇状トラスアナロジ-により、これらの破壊性状についての解明を試みている。筆者らはシアスパン比1.5のRC短柱供試体を用いた実験研究において、図2に示すような部材瑞部に形成されるトラスを想定して、上述の二種類の破壊を説明するとともに、すべり破壊条件に基き、曲げせん断破壊、または付着割裂破壊が選択される条件を求めた。
 本研究は、これらの破壊条件に対する鋼繊維の補強効果を解明することを目的として行なったもので、総計8体のSFRC短柱供試体による実験結果を示し、RC短柱の破壊性状と比較することにより、上述の二種類の破壊に対する鋼繊維の補強効果について考察した。
4.結論
 せん断繰り返し加力により、図-6に示したようにSFRC短柱においても通常のRC短柱と同様に、多様な破壊状況に至ることが確認された。ただし破壊の主因となるひび割れは、変形がかなり増加した状態で現われたものであり、この状況までの載荷過程においては、部材端における曲げひび割れを除き、顕著でない。
 筆者らは、シアスパン比1.5〜2.0のRC短柱のせん断破壊機構を検討し、部材端部に構成されるトラス機構の破壊条件の一つとしてすべり破壊による曲げせん断破壊についての考察を報告したが、今回の実験では、通常のRC短柱に見られる曲げせん断ひび割れが回避されており、したがってSFRCによりすべり破壊に対する補強が効果的であったと思われる。また1/100程度の変位では付着割裂ひび割れも顕著でなく、SFRCは主筋の付着強度を高めるうえでも効果があると考えられる。
 変形の増加にともなって、曲げせん断ひび割れ、及び付着割裂ひび割れを生じたが、これらの破壊は、RC短柱の実験と同様に、軸力、帯筋比、鋼繊維混入率等の影響が強いと判断される。またPw=0.00%の供試体の破壊性状が脆性的であったことから、シアスパン比1.0の短柱と同様、シアスパン比1.5のSFRC短柱においても、帯筋補強は重要であることが言える。
PDFファイル名 006-01-0130.pdf


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