種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋コンクリート部材の変形適合ねじりに関する一実験 |
副題 | |
筆頭著者 | 児島孝之(立命館大学理工学部) |
連名者1 | 高木宣章(立命館大学理工学部) |
連名者2 | 和田教志(ド-ピ-建設工業) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 533 |
末尾ページ | 536 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.はじめに 一般にコンクリート構造部材にねじりモ-メントのみが作用することは稀れであり、曲げ・せん断に比べて二次的とみなされる場合には、設計上無視されることが多い。しかし、我が国は地震国であり、最近の構造物の大型化、都市部での制約された立地条件のもとでの非対称構造物の建設等により、構造部材は使用状態・終局状態のいずれにおいてもねじりの影響を無視することができない場合が多くなってきている。 現在、土木学会の鉄筋コンクリートおよびプレストレストコンクリート構造部材の設計法は、従来の許容応力度設計法から限界状態設計法へ移行すべく審議されている。構造物に作用するねじりモ-メントは釣り合いねじりと変形適合ねじりに大別されるが土木学会限界状態設計法指針案によれば、終局限界状態時の検討は釣り合いねじりに対してのみ行ない、変形適合ねじりに対しては省略できることになっている。この理由としては、ねじりひびわれ発生後のねじり剛性の低下が大きく、終局限界状態での作用ねじりモ-メントが小さくなるためとされている。しかしながら、変形適合ねじりでねじりを無視して設計した場合、終局限界状態では当然発生しているねじりひびわれが、部材の曲げ・せん断性状に影響を与えることが予想される。ねじり・せん断・曲げの複合荷重を受ける部材に関する研究は、最近、比較的活発に行なわれているが、上記のような変形適合ねじりの検討に関する実験はほとんど行なわれておらず、また設計上検討しなければならない問題である。 本研究では、変形適合ねじりの一実験としてねじりを無視し、曲げ・せん断に対して設計された、すなわち、せん断補強筋として、U型スタ-ラップを有する長方形断面はりを用いて、あらかじめ、あるねじりモ-メントと曲げモ-メントの比率(T/M)のもとで、ねじり・せん断・曲げの複合載荷を行ない、ねじりひびわれが生じた後、あるねじり回転角に至らせた後除荷し、曲げ・せん断下で、あるいは初期載荷と異なったT/Mで再載荷し、曲げ・せん断下における耐力、剛性等諸性状の検討を行なった。 4.あとがき 本研究は変形適合ねじりを受ける鉄筋コンクリートはりを想定し、ねじりを無視して設計されたはりについて、ねじり・せん断・曲げの複合荷重を受け、ねじりによるひびわれが発生し、はりのねじり剛性が十分低下した後の曲げ・せん断荷重下での挙動を検討したものである。限られた実験ではあるが得られた結果を要約すると以下のようである。 (1)初期載荷ではりを破壊させる程度の損傷を与えれば、再載荷時の曲げ・せん断耐力は約10〜20%低下するが、現実に変形適合ねじりの場合にはこのような状況は考えられない。初期載荷で破壊させずねじり剛性が十分低下させる程度の損傷を与える場合には再載荷時の耐力の低下ほはとんど認められなかった。 (2)今回の実験ではいずれのシリ-ズにおいても初期載荷時の曲げ・せん断載荷での破壊形式は曲げ破壊であったが、再載荷時にはせん断破壊となるケ-スがあった。これは初期載荷で破壊させた供試はりでねじりモ-メントの比率が大きいものにこの傾向がみられたが、初期載荷で破壊させなかった供試はりにおいてもせん断破壊するものがシリ-ズ3にみられた。 (3)再載荷時の曲げ剛性への初期載荷のねじりの影響は少なく、初期載荷(T/M=0)の曲げ剛性とほぼ同じと考えてよい。また、初期載荷時の曲げ剛性に与えるねじりの影響も少ないが、ねじり剛性は曲げの影響により低下した。 最後に本研究結果に関する限り、変形適合ねじりを設計上無視しても、終局耐力、曲げ剛性に影響はあまりないようであるが、せん断破壊を生じる場合が少ないケ-スではあるが認められること、ねじりひびわれ幅の問題(使用限界状態の検討)等、今後検討しなければならない課題も多い。 |
PDFファイル名 | 006-01-0134.pdf |