種別 論文
主題 長柱挙動のNathanによる計算方法と実験の対照
副題
筆頭著者 粕谷伸男(三井建設土木部)
連名者1 山崎淳(東京都立大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 609
末尾ページ 612
年度 1984
要旨 1.研究目的および結論
 村料・幾何非線形を伴う鉄筋コンクリート長柱の挙動の能率的な計算法であるNathanの方法による予測と、断面10cm×10cmの供試体による試験結果を対照した。試験は座屈基本半波長の半分の片持梁供試体に偏心軸力を加え、計算予測による不安定終局限界状態を再現しようとした。初期ひびわれをも含む三回の試験の結果、実測終局荷重は予測値の80〜90%となり、終局破壊モード、コンクリートおよび鉄筋の圧縮ひずみと引張ひずみの傾向には総じて不整合はみられないことに照らせば、計算手法ならびに実験手法ともに、個々に改良が必要な点は多々あるものの、基本的には健常なものと結論された。
8.試験結果と評価
 2個の供試体で4回の載荷試験(No.1〜No.4)を行った。終局荷重、終局たわみ、供試体の状況を表‐2に記す。No.1試験では載荷用ジャッキが水平に保てず、14tonに達したがひびわれすら発生せず参考にならないので以下の検討から除く。No.2はNo.1のやりなおしであり、No.3はNo.2が座屈し、ひびわれ断面となったものを残留変位7mmで再び載荷したもので、初期不整、予期せぬひびわれがある場合の試験とみなす。No.4はNo.2と同じ条件での再現試験と考える。
 荷重・変位関係は図‐15のようであり、終局時荷重は9ton〜10.5tonと計算値の82〜95%におさまっているものの、終局時変位は計算値の2.2cmに対して1.5cm(No.2)〜7cm(No.4)と相当ばらついている。座屈の様子もNo.2が急激であるのに対し、No.4はゆるやかであった。また計算で予測された終局時変位2.2cmも必ずしも限界状態ではないようである。荷重・変位関係図が波打っているところは載荷用ジャッキの水平姿勢維持に問題があったためで改善が可能である。
 荷重・ひずみ関係は図‐16、17に示した。圧縮側コンクリート(1点で計測)、圧縮側鉄筋および引張側鉄筋(2点の平均)とも実測ひずみが計算値より高めに出ているが、全体の傾向はおおむね許容できる。
 試験結果を通覧すると、個々の現象について解明が必要な点が残されているが、終局破壊モード、荷重、たわみ、コンクリートひずみ、および鉄筋ひずみそれぞれが相互に矛盾するような結果を与えている点は認められない。実測終局荷重は、計算値の82〜95%であったが、座屈という不安定現象の予測としては容認し得ると思われる。
 ACI Code(ACI318-77)10.11.5節の設計式による終局荷重の計算値は8.9tonと実測値に近く、またモーメント割増係数は3.7であり、これは終局変位が、端部偏心(2cm)×3.7=7.4cmとなる断面破壊相当と考えていることを示す。No.4の実測値7.0cmと近い値を示している。しかしモーメント割増係数と断面破壊による予測値と不安定現象とどのように関連づけるべぎかについては疑問が残る。
PDFファイル名 006-01-0153.pdf


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