種別 | 論文 |
主題 | 中空スラブの直交2方向の剪断耐力比に関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 佐藤立美(広島工業大学工学部) |
連名者1 | 和田勉(和田建築技術研究所) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 633 |
末尾ページ | 636 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1 まえがき 中空スラブでは、中空管方向はI型梁の連続と考えられ設計がされているが、中空管と直交する方向では、開口率H/Dの大きい円孔がスラブ厚ピッチで並んだ単位巾の有孔梁と見ることができる。従って、中空スラブは直交2方向の断面性能の差の非常に大きい直交異方性板となっている。更に、近年の2方向性中空スラブでは、各方向とも途中で断面性能の急変する箇所を有し、そこでの応力伝達機能も明らかにされていない。そのため、応力解析が複雑となるばかりでなく、中空管と直交する方向の剪断補強が困難である事により、剪断力に対する検討が非常に重要となってくる。通常の2方向性中空スラブの設計では、既応の研究成果に基づき、直交2方向の耐力比を30%として剪断力の検討が行なわれている。本論文では、上記の現状を考え、2方向性中空スラブの設計のための基礎資料の作製を目的として中空スラブの直交2方向の剛性と剪断耐力比を実験的に検証した。 5 結論 以上の実験結果及び既報の結果より、中空スラブの直交2方向の耐力比等に関し、以下のように結論する。 (1)中空管方向については、等価I型断面に置換することにより、既応の実験式・理論式の適用が可能であり良く一致する。但し、剪断力に対する検討の場合には、ウェブ部の最小厚を有効巾と考える事が望ましい。 (2)中空管と直交方向曲げ亀裂強度は、円孔を控除したZeを用い、かつ下限式Mcr=1.2√Fc Zeで評価できる。 (3)直交方向の剪断亀裂強度は、円孔周囲の応力集中を考慮する必要があるが、上フランジ部のコンクリート全断面積のみ有効として推定する事も可能である。但し、中空管周辺から生じる剪断亀裂は、スラブ表面には表われない事は、設計上特に留意しておく必要がある。 (4)直交方向の有孔梁のコンクリート部分の最大の剪断耐力は、長方形梁の耐力に1-1.25%を乗じ下限値を得る。 (5)直交2方向の初期剛性の比は、実験結果の検討より1-(H/D)2/1-0.6(H/D)4程度となっている。これはt=30cmの場合0.7、t=40cmの時0.6となり初期剛性比は、断面性能比ほど小さい結果になっていない。 (6)直交2方向の耐力比を考える場合、各々の方向の最大耐力比を設計に使用せず、各方向の破壊形式と変形性能を十分考慮して考える必要がある。現行設計に用いられている耐力比30%はt≦40cmの場合十分安全側である。 (7)中空管と直交する方向へ荷重を伝達させる2方向性中空スラブでは、中空管と主筋が接する事により主筋のかぶりが少なく、剪断応力の大きい部分の付着破壊に留意する必要がある。 なお、今後は面材としての実験を行い、剛性・耐力こ関する検討を行っていく必要があると考えている。 |
PDFファイル名 | 006-01-0159.pdf |