種別 論文
主題 鉄筋コンクリート耐震壁のせん断すべり破壊に関する研究
副題
筆頭著者 野口博(千葉大学工学部)
連名者1 飯塚信一(西松建設技術研究部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 709
末尾ページ 712
年度 1984
要旨 1.はじめに
 鉄筋コンクリート耐震壁は、耐震要素として重要な事からその耐力、復元力特性等について近年、数多くの研究が行われている。しかし、斜めひびわれ群を横切ってせん断すべりを生じる耐震壁のせん断すべり破壊に関しては、耐力の実験式は提案されているが、その破壊機構はまだ十分把握されていない。また、近年原子力発電が社会的に重要な位置を占めるようになり、原子炉格納容器についても鉄筋コンクリートやプレストレストコンクリートの厚肉壁で造られるようになってきた。原子炉建屋は厚肉で高配筋の耐震壁を主耐震要素とするが、それに関する耐震壁の実験では、破壊モードとしてせん断すべり破壊が圧倒的に多い。実際の地震被害においても耐震壁や柱にせん断すべり破壊が観察されている。このように耐震壁のせん断すべり破壊を説明できる理論が確率されていない上に、未知の原子炉格納容器及び建屋の設計法の開発の必要もあってこの分野の研究は近年、活発に行われるようになった。
 鉄筋コンクリートのせん断伝達に関する実験的研究としては、せん断抵抗要素と考えられるひびわれ面の骨材のかみ合い、鉄筋のダボ作用等についての検討が多くの研究者によって行われ、個々のメカニズムについては、解析的にもかなり研究されてきている。しかし、これらの研究はせん断面以外は剛に近い試験体を対象としており(例えばPush-Off形式)、実際の耐震壁のように斜めひびわれが多数発生した後、それを鋭角に横切ってすべり破壊をする現象をも説明できるかどうかについては、明らかにされていない。また、耐震壁のせん断破壊の耐力は、補強筋量を増加させてもある時点で頭打ちの傾向がみられる。これは補強筋量が過剰となり、補強筋の降伏以前にコンクリートの圧壊によって破壊してしまうためである。コンクリート圧壊型の耐力について、補強筋比やコンクリート強度との関連で提案されている既往の式は、未だ十分な検証がほどこされていない。
 そこで本研究では、耐震壁の壁部分の一部を取り出した試験体を考え、斜めひびわれを鋭角に横切りせん断面に沿って壊れるせん断すべり破壊についてせん断耐力及び破壊モードの移行についての検討を行うことを目的とした実験を行った。
7.結論
 鉄筋コンクリート耐震壁のせん断すべり破壊については、最近研究が活発に行われ始めたが、まだその破壊挙動を正確に説明できていない。本研究では直接せん断形試験体よりも耐震壁の実状に近い試験体を用い、せん断すべり破壊の実験を行い耐力等を検討した。実験の範囲内では、せん断すべり破壊の耐力は、統一的に表現できるものと思われる。しかし、実際の原子炉建屋等は、厚肉高配筋であるため寸法効果などの不明な要因を残している。また本実験では、コンクリートの圧壊による破壊に対しては、データ不足であった。今後、より一層実状に即した研究を行ってゆく必要がある。
PDFファイル名 006-01-0178.pdf


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