種別 | 論文 |
主題 | RC耐震壁のJCI選定試験体の非線形解析 |
副題 | |
筆頭著者 | 野口博(千葉大学工学部) |
連名者1 | 丸田誠(鹿島建設建築設計本部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 741 |
末尾ページ | 744 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.はじめに 昭和58年10月に、日本コンクリート工学協会(JCl)の鉄筋コンクリート(RC)構造のせん断強度研究委員会(委員長:岡村 甫)主催の第2回RC構造のせん断問題に対する解析的研究に関するコロキウムが開催され、解析モデル検証用として委員会で選定された試験体が紹介された。これらの試験体の選定主旨は、岡村委員長による序文に詳述されているように、マクロ及びミクロ理論による解析モデルの検証が出来る最小限の実験データを選んだことにある。対象部材としては、はり、柱、柱・はり接合部、スラブ、耐震壁の5つが選ばれ、コロキウムの論文応募者に関連する実験データが送付され、解析が依頼された。その解析結果は、コロキウム論文集に収められ、それらの相互比較についてのコメントが各試験体選定担当者により実験データ集の中で述べられている。今後も多数の解析データが報告され、同一の試験体の解析という同じ土俵の上での解析モデル相互の比較検討が活発に行われていくことを期待したい。 筆者等もスラブを除く4種類の部材の解析を行い、コロキウムで報告したが、時間及び頁数の制限から、解析結果については荷重‐変形曲線、諸現象発生荷重及び破壊経過についての簡単な検討しか行えなかった。そこで本研究では、菅野が選定を担当したRC耐震壁試験体の解析結果について、その後の再解析も含めて、主に破壊経過に重点を置いて実験結果と比較検討を行うことにした。なお、はり、柱、及び柱・はり接合部の解析結果についても、同様の主旨により別報で報告する。 6.解析方法及び解析結果の考察 JCI第2回せん断解析コロキウムでの耐震壁選定試験体の解析応募結果についての菅野のコメントを参考にして解析方法及び解析結果の考察を行い、結びに代える。 1)ひびわれの発生域及びひびわれ間隔は、耐震壁では壁板の応力状態が一様に近いので、分布ひびわれモデルの方が扱いやすいが、本研究では、ひびわれ進展及び開口の程度が視覚的に把えやすいこと、せん断が卓越すろ部材での最終的に数少ないひびわれの開口、あるいは斜めひびわれ群に鋭角に交わる線上のせん断すべり破壊を表現しやすいこと、また、はり、柱、柱・はり接合部等の一般部材の研究レベルの問題を同一の解析プログラムで解くことを目標にすることから離散ひびわれモデルを用いている。そのために、耐震壁の解析としては若干不利でも、ひびわれ進展状況については独自の把え方をしている。 2)圧壊時期及び位置等の破壊状況については第4章で述べたように概ね実験結果と対応する。せん断すべり破壊位置は圧壊状況から大凡推測出来るが、変形モードの追跡については今後検討したい。 3)諸現象発生荷重について実験結果と比較検討を詳細に行ったが、解析では単調載荷であるのに対し、実験では正負繰返し加力である点が、破壊モードによっては、比較的付着の影響を受けにくい耐震壁でも問題となると思われる。この点についても、今後解析的研究が必要であると考えている。 4)最大耐力時の変形が、解析の手法上把握しにくい点については、その判定条件を今後検討したい。 5)押し引き加力と片押し加力の違いが耐力及び変形性能に与える影響については、はりについての黒正やFergusonの研究結果及びASCEのReviewと対応するが、今後定量的な検討も進めていきたい。 |
PDFファイル名 | 006-01-0186.pdf |