種別 | 論文 |
主題 | 連層鉄筋コンクリート耐震壁における耐力算定式の適合性について |
副題 | |
筆頭著者 | 高木仁之(明治大学工学部) |
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キーワード | |
巻 | 6 |
号 | 0 |
先頭ページ | 749 |
末尾ページ | 752 |
年度 | 1984 |
要旨 | 1.はじめに 鉄筋コンクリート耐震壁のせん断終局強度に関する実験的研究はその加力方法により、曲げ、せん断実験、純せん断実験に分類される。曲げ・せん断実験は耐震壁をはりと見なした集中荷重による単純ばり加力、連続ばり加力、片持ばり加力形式がある。一方、純せん断実験では、壁体の付帯ラーメンの軸方向剛性により対角線方向に加力するもので対角線一方向の圧縮、引張または二方向の圧縮引張加力形式がある。耐震壁のせん断終局強度の理論的研究は、それぞれの加力形式により行なわれている。曲げ・せん断実験では、耐震壁を片持ばりと見なし、はりのせん断終局強度式(大野・荒川式)によりI形断面を等価な矩形断面に修正した広沢氏の修正荒川式、壁体を圧縮コンクリート斜め材と引張柱からなるトラス機構に置換L、コンクリート斜め材の有効幅を決定した菅野式が掲げられる。また、純せん斬実験では.壁板部と付帯ラーメン部に分解しその力学的解析が行われている。その中で宮井.江崎氏はせん断ひびわれ発生以後の壁板を45°方向異方性弾性板と仮定し、エアリーの応力関数を用いフーリエ級数解析し壁板に対する付帯ラーメンの拘束作用やそれらの応力状態を示した。また、望月、山田、今井氏は壁板のひびわれ発生以後、コンクリート圧縮ブレース、壁筋を引張ブレースとしてトラス置換して解析している。山田氏は、付帯ラーメンの軸方向力を無視した形であるが荷重‐変形曲線をとらえ、等価粘性減衰定数を示した。今井氏は、付帯ラーメンを鉄骨にし壁板のひびわれ後も弾性と仮定し、それらの応力を解析した。また、望月氏は壁板のひびわれ発生以後の拘束反力による付帯ラーメンの節点応力を、その辺長比、剛比をとり入れた形で明らかにしかつ軸方向力の影響も考慮した。以上の研究は、優れた理論的解析に基づいているものの.耐震壁の破壊機構の複雑さにより最終的には実験結果を踏えた形で重回帰分析され、各因子に係数を乗じ修正した実験式にまとめられており、仮定された耐震壁の破壊形態を充分満足していない試験体結果も含まれると思われる。本論では、筆者らが過去10年間に行ってきた49体の試験体について破壊形態を分類し各提案式の適合性を検討した。 5.諸式の適合性 破壊形式の分類に従って諸式の適合性を図10、図11に示した。図10はせん断終局強度実験値、理論値を平均せん断応力度(τ=Q/t・l)で比較した。また図11は諸式の計算値に対する実験値を各破壊形式別に平均値及び標準偏差で示した。曲げせん断加力形式による提案式では修正荒川式がBS型に対して適合性が高い。また全体的に計算値が低く設計上安全側を与えた式と言える。純せん断加力形式によるものでは、山門式が破壊形式の相違に関係なく全体的に適合性が高い。SF、SC型破壊形式をとらえたQU5式〜11式についてみると、SF型ではQU8式の富井式が適合性が高い。QU8式は実験結果でみられるコンクリートの圧縮ゾーンを算入したもので、QU7式は対角線方向のななめひびわれにより試験体が分断された場合でコンクリートの圧縮ゾーンがない場合とした。SF型に対する適合性はQU8の方がよく、破壊断面を実状と一致して決定できれば非常に適合性が高いと思われる。SC型ではその破壊形式をとらえた諸式がSC塾については耐力を過小評価し、SF型破壊形式に適合する結果となった。すなわち片持ばり加力形式の連層耐震壁では上下のはりの剛性が非常に高く、その結果せん断加力形式との相違が表われたと思われる。また望月式のQU10式がSF型に非常に適合(相関係数0.86)したことが注目される。 |
PDFファイル名 | 006-01-0188.pdf |