種別 | 論文 |
主題 | 外壁の初期ひびわれに関する一考察 |
副題 | |
筆頭著者 | 小柳光生(大林組技術研究所) |
連名者1 | 中根淳(大林組技術研究所) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 7 |
号 | 1 |
先頭ページ | 17 |
末尾ページ | 20 |
年度 | 1985 |
要旨 | 1.まえがき 外壁のひびわれは美観上はもとより、漏水問題を引きおこすため、このひびわれ制御として硬練りコンクリート使用、補強筋、誘発目地等、種々の方法が試みられている。しかし、現在においてもまだ十分に解決されたとは言えないのが実状であろう。今回、某建物の外壁、特に開口部をもつ外壁におけるひびわれについて、その原因および対策の実験研究を行う機会があったので、その結果を報告する。この外壁ひびわれ発生の経緯については、現場係員から、せき板除去直後(材令5日前後)に小さなひびわれが既に認められたものもあったと報告された。一般的に、壁のひびわれはコンクリートの乾燥収縮に伴う自己ひずみが主要因と考えられており、その制御上も乾燥収縮ひずみを小さくするような調合計画等に努力がはらわれていることが多い。しかし、今回の場合、その発生時期が早いことからこの初期ひびわれは、乾燥収縮ひびわれとは考えにくく、水和熱による温度ひびわれの可能性もあると判断された。この外壁開口部まわりのひびわれは水和熱による初期ひびわれであるという見解は、昭和57年度日本建築学会大会で杉本氏が既に一事例を報告している。筆者等はこのひびわれ原因を確認する趣旨で、以下のような実験を行い、その結果について考察する。 5.まとめ 外壁開口部まわりのひびわれ原因について現場実験調査から検討したところ、水和熱による温度上昇後、下降する際の温度収縮変形によるものと判断された。この理由として、(1)型わく脱型(材令4日程度)後、既にひびわれが見られた。(2)斜め補強筋の鉄筋ひずみが材令2日以降、急激に増加しておりこの時、ひびわれが生じたと思われる。(3)コンクリートひずみ測定結果からコンクリート応力を試算したところ、10kg/cm2程度(材令2日)と推察される。この時点でコンクリート引張強度を上回りひびわれを生じたと考えられることなどが指摘される。このように引張応力が生じるのは、温度上昇時(材令2/3日)にはコンクリートヤング係数が小さく、熱伸脹変形による圧縮応力発生は小さいが、温度下降時(材令1〜4日)にはヤング係数がかなり発現しており、熱収縮変形による引張応力が生じることで説明できる。さらに、簡便なモデルを使ったFEMによる解析的検討から、開口部の逆八字形ひびわれが入る方向に最大引張応力を生じることが確認された。なお今回、打込みタイル保持の断熱材使用や壁厚が厚いことなどの要因がこの種のひびわれを明瞭に発生させたものと言える。ただし、長期的にはこれらの要因が乾燥や外気温の変動に対して有利に働くことは当然であろう。ひびわれ対策として、腰壁ひびわれ予想位置にメッシュ筋を追加したところ、ひびわれ分散効果が認められた。室内側壁面で0.2〜0.3mm以上のひびわれ幅を有するものについては、内装材を取りつける直前にエポキシ注入による補修を行った。 |
PDFファイル名 | 007-01-0005.pdf |