種別 | 論文 |
主題 | 温度解析における断熱温度上昇試験結果の適用性 |
副題 | |
筆頭著者 | 鈴木康範(住友セメント中央研究所) |
連名者1 | 原田修輔(住友セメント中央研究所) |
連名者2 | 前川宏一(長岡技術科学大学建設系) |
連名者3 | 辻幸和(群馬大学工学部建設工学科) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 7 |
号 | 1 |
先頭ページ | 25 |
末尾ページ | 28 |
年度 | 1985 |
要旨 | 1.まえがき マスコンクリートの打込み後の温度上昇をFEM解析等を用いて推定するためには、コンクリートの熱特性値をあらかじめ求めておく必要がある。コンクリートの熱特性値のうち、温度上昇を推定する際に、推定結果に重要な影響を及ぼすものはコンクリートの発熱量である。従来、この発熱量にコンクリートの断熱温度上昇量が用いられてきたが、その適用に当り2つの問題点が存在すると思われる。 問題点のうちの1つは、コンクリ−トの断熱温度上昇量が試験装置によって異なることで、場合によってはコンクリートの正確な断熱温度上昇量を示さないことである。もう1つの問題点とは、温度推定における発熱量として、コンクリートの断熱温度上昇量をそのまま適用することの出来る範囲に関するものである。すなわち、一般に、マスコンクリートの温度推定において、構造物の断面形状・寸法にかかわらず、発熱量としてコンクリートの断熱温度上昇量を与えている。しかし、構造物の断面が比較的に小さな場合には、構造物の内部は断熱状態とは言いがたく、断熱温度上昇量に基づく温度解析だけでは不十分と思われる。 本報告は、正確な断熱温度上昇量を求めるのに適切な試験装置について実験的な検討を加え、次に構造物の温度推定における発熱量としてコンクリートの断熱温度上昇量の適用範囲について明らかにしようとしたものである。 5.まとめ コンクリートの断熱温度上昇試験装置の性能ならびにその適用範囲について検討を行った結果から、以下の知見が得られた。 (1)大型ブロック試験体における温度の実測値と推定値の比較から、コンクリートの正確な断熱温度上昇量を求めるには、供試体の周囲に断熱材を用いることなく、適切な熱媒を用いて供試体の表面において断熱状態を維持できる形式が良いことが明らかとなった。 (2)断熱材で被覆した1m立方、断熱材で被覆しない場合に換算して2m立方以上と十分にマッシブなブロック試験体の温度履歴を、適切な装置による断熱温度上昇量と実験的に求めた他のコンクリートの熱特性値を用いたFEM解析により、精度良く推定できることが、温度実測値との比較により確認された。 (3)幅が1m、高さが1mおよび幅が0.4m、高さが1mと、さほど大きくない断面を有する試験体の温度解析を(2)と同じコンクリートの熱特性値を用いて行ったところ、実測値より高目の値を示す解析結果となった。このことは、構造物の断面形・寸法によっては、発熱量に断熱温度上昇量を用いるだけでは、他の熱特性値が正確でも、精度の良い温度解析が期待できず、温度履歴によりセメントの水和反応速度が異なることを考慮した解析方法が必要なことを示唆するものである。 |
PDFファイル名 | 007-01-0007.pdf |