種別 論文
主題 コンクリート中における防食鉄筋の耐食性に関する研究
副題
筆頭著者 築貫義人(海上保安庁灯台部工務課)
連名者1 三上尚人(住友金属工業中央技術研究所)
連名者2 新井哲三(住友金属工業中央技術研究所)
連名者3 山崎章(住友金属工業製鋼品条鋼技術部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 97
末尾ページ 100
年度 1985
要旨 1.緒言
 塩化物によるコンクリート中の鉄筋の腐食とそれによる構造物の劣化が問題になっている。特に沖縄では鉄筋コンクリート造りの住宅、校舎、橋梁等の劣化が早くから顕在化したので、被害状況調査は数多く行なわれた。例えば岸谷は劣化を早める原因として海からのしぶきを受けること、海砂を使用していることの2点をあげ、さらに高温多湿であること、良質な骨材が得られないことにふれている。また具志らは岸谷があげた二つの劣化原因に加え、混練水に塩分が混入していることもあり得るとしている。離島での施工では海水そのものを混練水として使用せざるを得ないとも言われている。このように沖縄の鉄筋コンクリート構造物は鉄筋を腐食させる要因が集積された条件下で施工・維持されることが多いので対策の確立が急がれる。筆者らは以上のような背景をもつ沖縄において、防食鉄筋(エポキシ樹脂塗装鉄筋、亜鉛めっき鉄筋)及び裸鉄筋の耐食性を比較するため、暴露試験を行なっている。この報文は暴露2年間の鉄筋の腐食挙動及びそれに関する考察をまとめたものである。

5.結論
 沖縄の海洋環境で行なっている暴露2年の結果からコンクリート中の鉄筋の腐食挙動に関連して次の諸点が明らかとなった。
(1)鉄筋の向地面の孔食は向天面に比較して進行速度が大きい。その理由は向地面で海水の浸透範囲が大きく、アノードに対するカソードの面積比が大きくなる結果、マクロセルの規模が大きくなることによる。
(2)エポキシ樹脂塗装鉄筋の塗膜疵部で生じる食孔の深さは、他の鉄筋に比較すると格段に小さい。その理由は小さな塗膜疵によって露出する鋼面及びその周辺の塗膜と鉄筋の限られた範囲の界面で形成されるマクロセルにおいて、カソード/アノード面積比が小さく、したがってマクロセルの規模が大きくなり得ないことによる。
(3)エポキシ樹脂塗装鉄筋は混練水、かぶり、暴露環境の如何を問わず、良好な耐食牲を示す。亜鉛めっき鉄筋は海洋大気中に暴露した海水練り、水道水練り両供試体中で孔食を生じる。裸鉄筋は混練水、暴露環境にかかわらず孔食を生じ、海洋大気中ではかぶりが小さければそれが著るしく進行する。
PDFファイル名 007-01-0025.pdf


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