種別 | 論文 |
主題 | 鉄筋腐食における鉄筋軸方向ひびわれがコンクリート部材特性に与える影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 岡田清(京都大学工学部) |
連名者1 | 小林和夫(京都大学工学部) |
連名者2 | 宮川豊章(京都大学工学部) |
連名者3 | 九冨理(佐藤工業) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 7 |
号 | 1 |
先頭ページ | 113 |
末尾ページ | 116 |
年度 | 1985 |
要旨 | 1.はじめに 近年、除塩の不十分な海砂の使用、あるいは海塩粒子の飛来量が多い環境等において、コンクリート中の鉄筋の塩化物腐食損傷例が数多く報告されている。鉄筋母材に対して腐食生成物が2.5倍もの体積に膨張することによる引張力は、腐食量が非常に小さな段階で軸方向ひびわれを発生させることが知られており、かぶりが小さな場合で0.005mm以下、比較的大きな場合でも0.1mm程度の腐食量で十分であると推定されている。したがって、かぶりコンクリートが大きくはく落しているような塩害を受けた構造物であっても、静的曲げ耐力についてはほとんど低下が見られないことか多い。 一方、軸方向ひびわれ、あるいはかぶりコンクリートのはく離、はく落が生じた場合には、腐食反応が促進され、鉄筋の断面減少速度が大きくなるとともに、食孔などの局部欠陥が増大し、またコンクリートと鉄筋との界面の付着が損なわれるため、鉄筋コンクリート部材の破壊メカニズムの変化等が生じる可能性が高い。 しかし、このような軸方向ひびわれを腐食劣化損傷における限界状態として注目した研究は極めて少ない。電食による推定などにその例が多少見られるものの、電食生成物と腐食生成物とでは組成および構造において若干異なるものと考えられている。本研究は、実際に鉄筋腐食による軸方向ひびわれを生じさせた鉄筋コンクリートはりの腐食特性および力学的挙動を、腐食させない健全はりとの比較の上で把握するとともに、その補修方法を検討し、塩害に関する耐久性設計の基礎資料を得ることを目的とするものである。 4.結論 本研究の範囲で得られた主要な結論を以下に示す。 (1)鉄筋腐食による軸方向ひびわれの発生は自然電位測定によってほぼ推定が可能であり、その程度は自然電位か卑で分極抵抗が小さな程大きい。(2)スターラップと主鉄筋との接触部は、かぶりの減少および腐食上の欠陥の生じ易さのため、軸方向ひびわれの原因となりやすい。(3)パッチング補修にあたっては、-200〜-250mVvsAg/AgClより卑な部分について行うのがよい。(4)本実験で得られた程度の軸方向ひびわれを有するはりにおいては、健全なものと比べて降伏耐力は低下しないが、最大曲げ耐力は若干低下し、パッチングとライニングを併用して補修した場合、降伏耐力は増大するものの最大耐力は増大しない。(5)腐食はりに交番載荷タイプ2の繰返し荷重が作用すると、健全なものに比べて繰返しにともなう耐荷力の低下が大きく、じん性の低下が顕著であり、これは補修したはりについても同様である。 |
PDFファイル名 | 007-01-0029.pdf |