種別 | 論文 |
主題 | 骨材反応の早期判定方法に関する一考察 |
副題 | |
筆頭著者 | 渡義治(五洋建設技術研究所) |
連名者1 | 草野守夫(五洋建設技術研究所) |
連名者2 | 片山一(五洋建設技術研究所) |
連名者3 | 徳永豊(五洋建設技術研究所) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 7 |
号 | 1 |
先頭ページ | 165 |
末尾ページ | 168 |
年度 | 1985 |
要旨 | 1.まえがき 骨材のアルカリ反応性を判定する方法には、骨材中の反応性鉱物の有無を顕微鏡観察、X線粉末回折分析などにより確認する岩石学的分析方法、骨材を微粉砕して化学的処理をほどこすことによりその骨材の潜在的アルカリ反応性を判定する化学的方法、および骨材を用いたモルタルまたはコンクリ−ト供試体を作成し、その膨張挙動を確認する膨張量測定方法などがある。このうち、膨張量測定法に関しては、わが国で主として問題になっているアルカリ・シリカ反応に対してASTM C227(モルタルバー法)の適用が望ましいとされている。しかし、ASTM C227についても、結果を得るまでに期間を要すること、6ケ月以降に急激に膨張する骨材に関しては判断を誤まる恐れがあることなどの欠点が指摘されている。そこで、膨張結果を得るまでの期間を短縮する目的で、アルカリ浸漬法、オートクレーブ法など種々の促進法が提案されているが、再現性が悪い、実構造物中では有害反応を生じない骨材を有害と判定する可能性があることなどを問題点としてあげる声もある。 このような状況のもと、今回、骨材反応早期判定の一方法としての高温常圧方法(80℃、100%R.H)、および乾湿くりかえし方法(80℃、30-100%R.H.)の有用性を確認する目的で、実験的に検討をおこなった。以下、その概要について報告する。 4.まとめ 4種類の骨材について、高温常圧方法、乾湿くりかえし方法によるモルタル供試体の膨張量測定実験をおこなった。ASTM C227(モルタルバー法)、ASTM C289(化学法)による検討、走査型電子顕微鏡による析出物の観察もあわせて実施した。その結果、以下のことが明らかになった。 (1)高温常圧方法(80℃、100%R.H.)は、ASTM C227における供試体の膨張傾向を材令13日程度の短期間に定性的によく再現する。 (2)高温常圧および乾湿くりかえし両促進養生方法による膨張量と、ASTM C227による膨張量の比は、材令とともに一定値に漸近する傾向がある。しかし、その収束値は、岩種、養生方法などにより異なるようである。 (3)今回の促進養生条件のもとでは、NaOHの方がNaClに比較して膨張促進効果が大きい。 (4)SEMによる観察の結果、両促進方法、ASTM C227いずれの供試体にも同様の反応生成物が認められる。 以上の点より、高温常圧方法は、骨材反応早期判定の一方法として有用であると考えられる。特に、本方法は、長期間の測定を要するASTM C227による判定を実施する前の段階で、骨材の岩石学的分析、ASTM C289などと組み合わせておこなうことにより、骨材反応の危険性を短期間に所要の精度をもって判定する一手段として利用できると考えている。 しかし、ASTM C227と高温常圧方法の最終膨張量の比におよぼす種程、養生温度、湿度の影響、およびそれにともなう有害と判定する限界膨張量の設定の問題など未解明な点も多い。今後、前述の項目を中心に検討をおこない、骨材反応早期測定方法としての有用性を検証していく必要がある。 |
PDFファイル名 | 007-01-0042.pdf |