種別 論文
主題 骨材のアルカリ反応性の早期判定試験方法の一提案
副題
筆頭著者 田村博(日本建築総合試験所)
連名者1 星野善孝(日本建築総合試験所)
連名者2 高橋利一(日本建築総合試験所)
連名者3 斎藤広志(日本建築総合試験所)
連名者4  
連名者5  
キーワード
7
1
先頭ページ 177
末尾ページ 180
年度 1985
要旨 1.まえがき
 最近、アルカリ反応性骨材によるコンクリート構造物の劣化現象が報告されるに伴い、骨材のアルカリ反応性試験の必要性が増してきている。現在我が国で主として行なわれている試験方法は、偏光顕微鏡または粉末X線回折による骨材中の有害物質の確認、ASTM化学法ならびにASTMモルタルバー法である。しかしながら、これらの試験方法にはいくつかの問題点がある。すなわち、偏光顕微鏡や粉末X線回折による有害鉱物の存在の有無は確かめられるが、有害性の有無までは言及できない点があるとともに、モルタルあるいはコンクリートとして使用した場合の有害性について直接的に確認していない点に問題がある。ASTM化学法の場合は、迅速に結果が判明するという長所があるが、炭酸カルシウム、マグネシウムまたは第1鉄を含む骨材(方解石、ドロマイト、マグネサイ)やマグネシウムの珪酸塩を含む骨材については有効でないという制約がある。また、アルカリ反応性の判定区分が設けられているが、これは一定のアルカリ濃度下におけるASTMモルタルバー法による6ケ月のモルタルの膨張量の結果をもとに決められており、後述のごとく、6ケ月の膨張量のみではまだ判定に苦しむので、その点にも問題が残る。またASTMモルタルバー法については、モルタルの膨張量でアルカリ反応性の判定を行なうが、3ケ月あるいは6ケ月もの長期間を要する点に問題があるとともに、図-1に示すように、モルタルの膨張の発現傾向も様々であり、また、膨張は6ケ月以降も続くので、さらに長期間の測定を必要とすると指摘する研究者もあり、また、この試験を行なう場合、モルタル中のアルカリ濃度をいかに選択すべきであるかが明確でない。さらに、アルカ骨材反応によるモルタルあるいはコンクリートのひびわれ現象を確認していない点にも疑問が残る。
 以上のとおり、従来行なわれている骨材のアルカリ反応性を確認するための試験方法には種々の問題点がある。著者らは、それらの問題点を顧慮する必要のない方法を考案し、これまでに2、3の実験結果を報告してきた。本報告は、それらの実験結果をもとに作成した骨材のアルカリ反応性早期判定試験方法(GBRC促進法(案))を提案するとともに、同試験方法の適用例として実施した、全国で採取した計61の骨材についての試験結果ならびにアルカリ骨材反応による損傷を受けたコンクリート構造物から採取した骨材についての試験結果について述べたものである。

4.あとがき
 骨材のアルカリ反応性を精度よく判定する試験方法の1日も早い確立が望まれている現状に鑑み、これまでの実験結果をもとに、アルカリ骨材反応によるモルタルのひびわれの有無を早期に確認することにより判定を行なうGBRC促進法(案)を提案し、また、その適用例を示した。今後さらにデータを蓄積して同試験法の信頼性を高めてゆきたいと考えている。
PDFファイル名 007-01-0045.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る