種別 論文
主題 高炉セメントコンクリートの性質に及ぼす空気量のちがいの影響
副題
筆頭著者 依田彰彦(足利工業大学工学部)
連名者1 横室隆(足利工業大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
7
1
先頭ページ 181
末尾ページ 184
年度 1985
要旨 1.はじめに
 高炉セメントを用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントコンクリートに比較して所要のワーカビリチーを得るに必要な単位水量が少なくすむうえに、同一圧縮強度に基づく一般的な性質に大きな相違がなく、省資源・省エネルギーの要請されている今日、高炉セメントの使用量は年々増加の一途をたどっている。
 本研究は、高炉セメントコンクリートの性質に関して既に詳細に研究している中で、あまり明確となっていない図1に示す空気量のちかいが及ぼす影響について究明したものである。

5.結論
 本実験研究結果から結論として次のようなことがいえよう。
a.練りまぜたコンクリートのワーカビリチーはいずれも良好で、また、空気量が多いほど減水できる。その減水率はプレーン(空気量1%前後)コンクリートに対して空気量3.8%前後では10%程度、空気量6.2%前後では15%程度である。
b.ブリージング量はJASS5の"常用"コンクリートの目標値(0.5cm3/cm2
以下)を満足するが、空気量のちがいによる傾向は見い出せなかった。
c.圧縮強度は、(1)空気量の大小にかかわらず空気量がほぼ一定なら標準養生・屋外放置ともセメント水比との関係で表わすことができる。(2)W/Cを5%づつ小さくした場合(図6をそれぞれ縦に比較した場合)、空気量3.8%(平均)のコンクリートが若干だが最も大きく、以下6.3%、1.0%の順であった。これは使用したAE減水剤の成分が影響したものと推察する。(3)同一水セメント比で比較しても空気量3.7%が若干だが最も大きく以下1.0%、6.1%の順であった。理屈では空気量が小さいほど圧縮強度が大きいと思うが、いま述べた通りの傾向が認められた。理由は(2)と同様と考える。(4)冬季に製作し、屋外放置したコンクリート供試体でも材令28日からは標準養生の70%以上の圧縮強度が確保できる。
d.空気量のちがいによるヤング係数は、圧縮強度の傾向と似ている(5.c.(3)参照)。しかしその差違は小さい。
e.空気量のちがいによる引張強度は、材令によって異なるがその差違は小さい。
f.乾燥収縮率は、使用したAE減水剤の成分が影響したためか空気量3.7%が若干小さく以下1.0%(平均)、6.2%(平均)の順で、W/Cの差違は若干だがW/Cの小さい方か小さい。また乾燥に伴う重量減少率は乾燥収縮率の傾向に似ている。
g.相対動弾性係数は、空気量6.2%(平均)及び3.8%(平均)が有利でとくに前者がよい。
h.材令365日の中性化深さは空気量による差違は小さいが、強度(W/C)が異なれば差違が認められる。すなわち、強度が大きい方が小さい。また、中性化コンクリート供試体に埋込んだ鉄筋の発錆はいずれの場合も認められなかった。
i.110℃の耐熱性状は、空気量の大きい方が若干だが有利である。
j.pH1.0相当のHCl溶液の耐薬品性状は、空気量の小さい方が若干だが有利である。
k.以上a〜jを総括すると空気量3.8%(平均)のコンクリートの性質は空気量6.2%(平均)、1.0%(平均)のコンクリートより特別の性能を除いて総対的に優位であることが明確となった。特別の性能とは凍結融解作用に対する抵抗牲や耐熱性状などで、これらは空気量が大きいほど、また耐薬品性状は空気量が小さいほど、それぞれ優位である。
PDFファイル名 007-01-0046.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る