種別 論文
主題 高炉スラグのコンクリート用混和材の利用について
副題
筆頭著者 依田彰彦(足利工業大学工学部)
連名者1 横室隆(足利工業大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
7
1
先頭ページ 185
末尾ページ 188
年度 1985
要旨 1.はじめに
 高炉水砕スラグ粉末を混和材として用いたコンクリ−トは無添加に比して所要のワーカビリチーを得るに必要な単位水量が減り、また水和熱の低減も図かれるなど、基本的な性質が改善できることを実験的に確かめ、多くの有用な資料を得た。本報では、長期材令における諸性質の傾向ならびに骨材との反応性状を中心として実験研究した結果をとりまとめた。

6.結論
 材令3年までの実験研究結果から結論として次のようなことがいえよう。
a.高炉水砕スラグ粉末をコンクリート用混和材として用いると良好なワーカビリチーが得られ、しかも無添加に比較して単位水量を減らすことかできる。この減水傾向は内割添加量が多いほど若干であるが大きい。
b.ブリージング量は多くも少なくもなく、JASS5の常用コンクリートの目標値(0.5cm3/cm2以下)を満足できる。
c.凝結時間は内割添加量が多いほど若干であるが長くなる。
d.圧縮強度は、その発現に特異な傾向がある。すなわち、短期材令では温度が高くて内割添加量が多いほど圧縮強度は大きくなり、逆に温度が低いほど小さくなる。長期材令では温度の高低にかかわらず圧縮強度は大きくなる。これは高炉スラグ粉末が有する潜在水硬性によって長期間にわたって圧縮強度が増進するので、耐久性のあるコンクリート構造物ができることになろう。なお、気温が低い場合、その気温に対処できるようなコンクリートの調合設計の実施または型枠存置期間の若干の延長を企てれば解決できる。
e.静弾性係数は圧縮強度の発現傾向に近似しており、E=2.1×105×(γ/2.3)1.5×(FC/200)1/2(kgf/cm2)で表示することができる。(γ:重量t/m3)
f.引張強度は高炉スラグ粉末の内割添加量にかかわらず、圧縮強度との関係において一つの式で表示することができる。
g.乾燥収縮率及び乾燥に伴う重量減少率は高炉スラグ粉末の内割添加量が多いほど、また、水セメント比が小さいほど、ともに若干であるが小さい。この傾向は長期材令に到るほど明らかである。
h.中性化探さは高炉スラグ粉末の内割添加量が多いほど、また水セメント比が大きいほど若干であるが大きい。しかし問題にするほどではない。
i.骨材との反応牲は高炉スラグ粉末の内割添加量が多いほど小さい。このことは昨今社会問題となっているアルカリ骨材反応現象を高炉スラグ粉末を併用することによってある程度防止することができる一方策といえる。この場合、高炉スラグ粉末の添加量が多いほどその効果は著しい。
j.以上a〜j項を総括すると高炉水砕スラグ粉末は低温かつ短期材令時の低強度に対する注意(取扱い)を守れば、ワーカビリチーの改善をはじめ、今回定量的に把握した長期材令における強度の増進および乾燥収縮の低減の程度ならびにアルカリ骨材反応の低減の程度など、コンクリートの性質をかなり改善することができる。このような役割を有する高炉スラグのコンクリート用混和材への利用をすすめるものである。
PDFファイル名 007-01-0047.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る