種別 | 論文 |
主題 | セメントモルタルの曲げ強度の確率論的考察 |
副題 | |
筆頭著者 | 大岸佐吉(名古屋工業大学工学部) |
連名者1 | 小野博宣(中部大学工学部) |
連名者2 | 高津学(名古屋工業大学工学部) |
連名者3 | 武田祥志(名古屋工業大学大学院) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 7 |
号 | 1 |
先頭ページ | 269 |
末尾ページ | 272 |
年度 | 1985 |
要旨 | 1.まえがき セメントペーストおよびモルタルの多数試験体について曲げ試験を行うと、強度値はある値を中心にバラツキを示す。これは破壊が材料中にランダムに存在する欠陥部分を起点として発生し、強度は材料の平均的な性質としてではなく、材料中に含まれる最大欠陥により支配されるためである。つまり材料の強度値は確定値とみなすべき量ではなく、統計的な量として把握されるべきものと理解される。また強度値のバラツキは、試験体寸法、変形速度など各種の因子に支配されるので、確率統計手法により、これらの影響を明らかにする必要がある。これに関して既にいくつかの研究例がある。本研究はセメント系複合材料の破壊挙動の本質を確率統計論的に明らかにするため、第1段階としてセメントペーストおよびモルタルの曲げ強度の確率的統計性質に及ぼす試験体数・変形速度・試験体寸法・調合比・材令および混和剤の影響を実験的に検討したものである。 5.結論 1)本研究の5つの実験シリーズのいずれにおいても曲げ強度はワイブル分布を示す。 2)本実験では、モルタルのワイブル係数mの値は、14〜20、セメントペーストでは7〜10であり、ペーストは前者よりも気泡混入により組織の均一性を欠くと考えられる。これにAE減水剤を添加することによりワイブル係数mと曲げ強度は増大し、組織がより均質化することが認められる。 3)セメントペーストおよびモルタルのワイブル係数mは、共に変形速度に依存せず、前者ではm=10、後者ではm=14の一定値を示す。曲げ強度の実験結果は、応力速度依存の式(3)によく適合している。 4)セメントペーストおよびモルタルのワイブル係数mは、はりの断面が2cm角及至8cm角の範囲では、断面寸法に依存せず、それぞれ一定値を示す。曲げ強度は小寸法ほど大であり、曲げ強度の実験結果は、寸法の依存式(4)にほぼ適合することが認められる。 5)セメントペーストのワイブル係数mは、0.30≦C/W≦0.45の範囲において、C/Wに依存しない。またモルタルでは、1≦S/C≦2の範囲において、S/Cに依存せず一定である。またmは材齢に依存しない。 6)ワイブル係数mと変動係数Vとの間の実験的関係と、両者間の理論的関係式(5)は、ほぼ一致している。 |
PDFファイル名 | 007-01-0068.pdf |