種別 論文
主題 ボックスカルバートの温度応力の実測と解析
副題
筆頭著者 竹下治之(日本国土開発)
連名者1 浅沼清(日本国土開発)
連名者2 横田季彦(日本国土開発)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 57
末尾ページ 60
年度 1986
要旨 1.まえがき
 マッシブなコンクリート構造物では、セメントの水和熱に起因する温度応力によもひびわれの発生が懸念される。温度応力に関しては、現在までに数多くの研究がなされているが、若材令時におけるコンクリートの諸特性については不明な点が多く、温度応力の正確な事前予測の障害となっている。
 本研究は、このような現状から、鉄筋コンクリート製ボックスカルバートの施工時に発生する温度応力に対し、コンクリートの温度、ひすみおよび応力を測定し、これらの測定値から、見掛けひずみ、拘束度、応力ひずみ、有効弾性係数、クリープ係数および弾性係数低減率などを算定し、通常用いられている内部および外部拘束応力解析手法について検討を行ったものである。
4.まとめ
 結論を要約すると以下のようである。
(1)部材厚が0.75〜0.85mの本実験では、コンクリート温度は打設後約1日で最高温度に達し、約10日後に安定した。また、断面内の温度分布は、中央部を頂点とする放物線形をなし、最大温度変量は約28〜33℃、断面内の最大温度差は約9℃であった。
(2)本実験のようなボックスカルバートでは、側壁には外部拘束応力と内部拘束応力が同時に発生するが、一般的に、前者が支配的であり、近似的には後者を無視することができる。一方、頂版においては、ほぼ内部拘束応力のみであり、その発生応力も小さい。従って、外部拘束応力によるひびわれが側壁に発生しやすくなる。
(3)外部拘束応力が支配的な側壁では、温度上昇とともに比較的小さな圧縮応力が発生し、その後は、温度降下とともに次第に引張応力に移行する。本実験では、ひびわれの発生がなければ、引張応力は圧縮応力の約4倍と推定される。一方、内部拘束応力が支配的な頂版では、温度上昇とともに断面中央部で圧縮応力、表面部で引張応力が発生し、その後は、温度降下とともに、これらの応力は逆転する。
(4)上記のような理由により、側壁のほぼ中央部にコンクリート打設約6日後にひびわれが発生したがこの時の温度応力は約22〜25kgf/cm2であり、推定引張強度とほぼ同等であった。
(5)遅延剤を散布し水洗浄による打継処理後、新コンクリートを打継いだ本実験の場合、外部拘束度は温度上昇時で0.37、下降時で0.68であった。
(6)有効弾性係数は、温度が下降するに従い次第に減少し、温度安定とともに、ある一定値となる。本実験の場合、その値は1.18×105kgf/cm2であった。また、この有効群性係数から求められるクリープ係数は材令とともに増加し、弾性係数低減率は材令とともに減少する傾向を示す。後者については、解析のためのモデル図を示した。
(7)外部拘束応力算定においては、計測ひずみ値から算出した計算値と実測値はよく一致した。また、計測温度を基に通常の簡易計算式により算出した計算値も、実測値と比較的良く一致した。このような結果から、外部拘束応力算定に対しては、計算定数を適切に選定することにより、比較的精度良く発生応力を算出することができるものと考えられる。一方、内部拘束応力算定においては、通常適用されている平面保持を仮定した弾性解析理論に基づく簡易計算式によれば、算出応力は過大評価となる仰向があると考えられる。
PDFファイル名 008-01-0015.pdf


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