種別 論文
主題 生コンクリートのアルカリ骨材反応性早期判定試験方法に関する一実験
副題
筆頭著者 田村博(日本建築総合試験所)
連名者1 高橋利一(日本建築総合試験所)
連名者2 五十嵐千津雄(日本建築総合試験所)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 177
末尾ページ 180
年度 1986
要旨 1.まえがき
 アルカリ骨材反応によるコンクリートの劣化を防止する見地から、我が国においても多くの研究機関で活発に、骨材のアルカリ反応性を判定する試験方法の検討が行なわれている。我々も、日常の骨材品質管理に利用できる簡易迅速試験方法としてGBRC促進法を提案し、現在もさらに検討を続けている。
 しかしながら、骨材のアルカリ反応性試験によって「反応性なし」と判定された骨材だけを、将来にわたってコンクリートに使用していくことは、我が国の骨材事情を考慮した場合無理があり、反応性骨材も有効な反応抑制対策を講じつつ使用していかねばならない。反応性骨村の使用方法としては、これまでの諸外国での研究成果等をもとに、低アルカリセメントの使用、コンクリート中の総アルカリ量の制限、フライアッシュ、スラグ等のポゾランの利用、高炉セメントB種等の混合セメントの使用等の方策が一般に推奨されている現状ではあるが、反応性骨材の使用量、粒度、コンクリートの調合(W/C、空気量等)、セメントの品質、ポゾランの品質等によっても、反応抑制効果は微妙に変化すると考えられ、コンクリートによる試験を行なってその効果を確認しつつ、慎重に対応していく必要があると思われる。
 骨材のアルカリ反応性を確認し、さらに実際に工事に使用するコンクリートがアルカリ骨材反応による強化を生じる可能性(以下、これをコンクリートのアルカリ骨材反応性と呼ぶ)の有無を適確に判定することができれば、アルカリ骨材反応によるコンクリートの劣化は効果的に防止できよう。
 現在のところ、コンクリートのアルカリ骨材反応性を評価するには、試験に長期間を要するコンクリートの長さ変化試験に頼らざるを得ない状況にあり、もっと短期間に評価できる試験方法の開発が望まれるところである。
 そこで我々は、骨材のアルカリ反応性早期判定試験に用いたGBRC促進法の手法をコンクリートに応用して若干の試験を行なったところ良好な結果が得られたので、さらに検討を続けているところである。未だ予備実験的な段階ではあるが、極めて有望な結果が得られているので、この成果の一部をここに紹介する。生コンクリートの試し練りの段階で、この種のコンクリートのアルカリ骨材反応性早期試験が実施されれば、アルカリ骨材反応によるコンクリートの劣化を防止する見地から頼めて有効であろう。
4.まとめ
 今回の実験結果をまとめると次のようなことがいえる。
(1)生コンクリートに過剰なアルカリを加え、GBRC促進法の手法を応用すれば、コンクリートのアルカリ骨材反応性を簡易かつ迅速に評価できる可能性が高い。
(2)添加すべきアルカリ量として9kg/m3が一案として考えられるが、この値は海洋構造物の表面に蓄積するアルカリ量にほぼ相当し*、外部からアルカリが浸入する最も厳しい環境下でコンクリートのアルカリ骨材反応性を評価していることとなる。(*海洋コンクリート構造物の表面塩分濃度はコンクリートに対するNaCl量でほぼ1%程度となるので、これをアルカリ骨(R2O)に換算すれば、10kg/m3強となる)
(3)コンクリートのアルカリ骨材反応性は、調合によっても影響されるので、低アルカリセメント使用等反応抑制対策の適用にあたっては慎重に対処することが望まれる。一つの方法として、今回実施したような試験方法によって、実際に使用するコンクリートのアルカリ骨材反応性を確認することが考えられる。
 以上、本報告は短期試験の結果をとりまとめたものであるが、同時に実施中の長期試験の結果との対応についても、後日とりまとめて報告する予定である。
PDFファイル名 008-01-0045.pdf


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