種別 | 論文 |
主題 | 硫酸塩を含む土壌におけるコンクリートの劣化 |
副題 | |
筆頭著者 | 松下博通(九州大学) |
連名者1 | 浜田秀則(運輸省) |
連名者2 | 牧角龍憲(九州大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 8 |
号 | 0 |
先頭ページ | 225 |
末尾ページ | 228 |
年度 | 1986 |
要旨 | 1.はじめに 福岡市近郊において、近年石灰掘削の際の副産物として得られる生ボタを宅地造成用土壌として用いてきた地区がいくつかあるが、それらの土壌の上に建てられた建築物の基礎コンクリートに、建築後わずか数年で異常に劣化しているものがあることがわかった。これらの劣化は、その状況からボタ中の硫酸塩が主原因であることが推定されたが、さらに詳しい劣化機構をとらえ、有効な防止対策および補修方法を講じるために、筆者らは土壌、コンクリートの双方から一連の調査を行ったのでここにその報告をする。 6.まとめ 以上の結果から、対象とした束石コンクリートの劣化は、土壌中に含まれる硫酸イオンおよび硫酸塩に起因するもので、さらに地表面近傍における硫酸塩の濃集現象によりその劣化が促進されたことが予想される。この濃集現象およびコンクリートの劣化崩壊の機構は次のとおりと考えられる。 (1)土中に含まれる硫酸イオンは、雨水が地表から浸透すれば次第に希釈され取り除かれていくが、住宅床下のように地表からの雨水の浸透の少ない場所では、土中の毛細管現象による水分上昇にともなって上昇するとともに地表面からの水分蒸発が卓越するために、地表面近傍に濃集する。 (2)束石コンクリートに浸透した硫酸イオンにおいても、同様にして地表面近傍に濃集する。 (3)コンクリートに浸透した硫酸イオンは、コンクリート中の化合物あるいはセメント組成鉱物と化学的に反応して、石こうあるいはエトリンガイトを生成し、その反応による体積膨張によりコンクリートの膨張破壊をもたらす。 (4)硫酸イオンがナトリウムイオンやマグネシウムイオン等と共存をして、Na2SO4やMgSO4として存在すれば、これらの物質はコンクリート中に浸透し、周囲の温度条件および湿度条件によって結晶化する。このときの結晶析出圧による物理的作用によってコンクリートが膨張破壊する。 (5)これら2つの膨張破壊様式が重なって生じることにより、コンクリートは著しい崩壊に至る。 |
PDFファイル名 | 008-01-0057.pdf |