種別 論文
主題 乾燥収縮を低減する混和剤を用いたコンクリートの基礎的性状
副題
筆頭著者 杉山雅(藤沢薬品)
連名者1 田中恭一(藤沢薬品)
連名者2 佐久田昌治(竹中工務店)
連名者3 浦野敏晴(竹中工務店)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 281
末尾ページ 284
年度 1986
要旨 1.はじめに
 コンクリートの乾燥収縮は、しばしば構造物にひびわれを発生させる原因となるため、これまでは主に材料、施工、設計面など工学的見地から改善が図られてきた。これに対し最近物理科学的手法によるものとして、乾燥収縮そのものを抑制する混和剤(以下、収縮低減剤)が開発され、これを用いた改善が試みられている。一方、コンクリートの凍結融解耐久性を改善する等の目的で空気を連行させたAEコンクリートは、対応するプレーンコンクリートに比べ単位水量が減じられているにもかかわらず乾燥収縮の面ではとんど寄与せず、却って収縮を増大する傾向を示すこともあると報告されている。すなわち、乾燥収縮を抑える観点をからは必ずしもコンクリート中に空気を連行させる必要は無いと考えられる。
 そこで従来の概念にとらわれず収縮低減作用を有し、しかもコンクリート中に空気を連行しないでも凍結融解耐久性を有する混和剤となり得る化合物について広く検討を行った結果、水に不溶のグリコトルエーテル系の誘導体に極めて興味ある性能を見い出した。今回これを用いたコンクリートの乾燥収縮と凍結融解耐久性を中心に、コンクリートの基礎的性状について報告する。
4.まとめ
 乾燥収縮の低減作用を有し、かつコンクリート中に空気を連行させないでも凍結融解耐久性を有する混和剤F剤を開発し評価した結果、次の知見が得られた。
(1)F剤は同時添加、後添加いずれでも空気連行性は無く、また凍結遅延性は認められない。
(2)強度は無添加とほぼ同様である。
(3)乾燥収縮はその使用量に応じて低減し、硬練りコンクリートやセメントの種類が異なる場合にも同じ傾向である。
(4)F剤を用いたコンクリートの耐凍害性は、軽微の乾燥により著しく向上する。この乾燥条件は、例えば供試体に2日以上の乾操を与えるものであり、これをコンクリート内部に存在する全空隙量に対する割合で表すと80%以下であることがわかった。この程度の含水量は構造体コンクリートでは比較的含水程度の高い状態と考えられる。
(5)F剤を4%用いたコンクリートの空気量は、フレッシュの状態を圧力法で測定すると0.9%であるが硬化後の断面から平均気泡径119μmの微細な空隙(あるいは油滴の跡)が多数確認され、気泡間隔係数も194μmとAEコンクリートより小さいことがわかった。よってこれら微細な空隙が凍結融解耐久性の向上に何らかの寄与をしたものと考える。
PDFファイル名 008-01-0071.pdf


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