種別 | 論文 |
主題 | 低品質シリカフュームを用いた製品用コンクリートに対する蒸気養生の影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 堀井克章(阿南工業高等専門学校) |
連名者1 | 河野清(徳島大学) |
連名者2 | 天羽和夫(阿南工業高等専門学校) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 8 |
号 | 0 |
先頭ページ | 297 |
末尾ページ | 300 |
年度 | 1986 |
要旨 | 1.まえがき シリカフュームは、フェロシリコンやシリコンメタルの製造時に排出される活性シリカ質の超微粒子で、コンクリートの材料分離抵抗性、強度、水密性、耐久性などの諸性状改善に効果のある優れたポゾラン質混和材料として注目されている産業副産物である。しかしシリカフュームには、価格がセメントに比べて高いこと、運搬や練りまぜ方はなどが確立されていないこと、品質のばらつきが大きいことなどの問題点がある。シリカフュームに関する既往の研究では、比表面積20万cm2/g程度でSiO2含有率80%以上のシリカフュームを取り上げて、これをコンクリート製品を対象とした高強度コンクリート用の混和材として利用することを目的とした研究が多い。シリカフュームの有効性は、その特性である高い粉末度やSiO2含有率によるところが大きく、現実にはこれらの値が上記した値に比べてかなり小さいものも副産されており、このような低品質シリカフュームを有効利用することは経済性からも有意義であろと思われる。 本研究では、低品質シリカフュームを取り上げ、これを一般的なコンクリート製品及びカラス繊維補強コンクリート(以下GFRCと略す)製品に利用する際の基礎的資料を得ることを目的として、シリカフュームを混和材としてセメントの一部に代替使用した場合のフレッシュコンクリートの諸性状及び蒸気養生を中心として各種の方法で養生した場合の硬化コンクリートの諸性状について実験により検討を行った。 4.むすび 一般製品用の硬練りコンクリート及び特殊製品用のガラス繊維補強コンクリートに、四国産の比表面積やSiO2含有率が通常のものに比べて小さい低品質シリカフュームを混和材としてセメントの一部に代替使用した場合のフレッシュコンクリートの諸性状、及び蒸気養生を中心に各種の条件で養生を行った場合のシリカフュームを用いた硬化コンクリートの諸性状について実験により検討を行った本研究より得られた結果を要約すると、本実験の範囲内で以下のようになる。 1)シリカフュームの使用は、硬練りコンクリート及びカラス繊維補強コンクリートのコンシステシシーを悪化させる。しかし多量添加可能な高性能減水剤の併用によりこれを改善することができる。 2)シリカフュームの使用は、硬練りコンクリート及びガラス繊維補強コンクリートのブリージンクの抑制にきわめて効果がある。またその効果は、特に単位水量の多いガラス繊維補強コンクリートで顕著となる。 3)シリカフュームの使用は、硬練りコンクリート及びガラス繊維補強コンクリートの圧縮強度の改善に効果がある。またその効果は、初期材令では養生温度が高いほど、長期材令では養生温度が低いほど大きい。 4)蒸気養生は、硬練りコンクリート及びガラス繊維補強コンクリートの初期圧縮強度発現に効果があり、その効果は、シリカフューム代替量が高いほど大きい。しかしガラス繊維補強コンクリートでは、80℃蒸気養生の方が60℃蒸気養生に比べてせん断強度が低くなるので、蒸気養生温度を低めにするのが良い。 5)ガラス繊維補強コンクリートの圧縮強度、せん断強度及びじん性は、材令28日以降低下し、また材令1年では材令7日以降空気乾燥状態へ移す方が水中湿潤養生を続けるよりも高い値となるので、ガラス繊維補強コンクリートでは、早期材令で湿潤状態から乾燥状態へ移すのが良い。 6)シリカフュームの使用は、硬練りコンクリートの水密性の改善にきわめて効果がある。 7)常温養生の場合には、硬練りコンクリートの乾燥収縮は、シリカフュームの使用により若干大きくなり、ガラス繊維補強コンクリートでも材令が短い間は若干大きくなる。しかし蒸気養生を行った場合には、これらのコンクリートの乾燥収縮は、シリカフュームの使用により逆に若干小きくなる。 |
PDFファイル名 | 008-01-0075.pdf |