種別 論文
主題 AE法によるコンクリートの最大履歴応力推定手法に関する研究
副題
筆頭著者 佐藤成(東京大学)
連名者1 魚本健人(東京大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
8
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先頭ページ 397
末尾ページ 400
年度 1986
要旨 1.はじめに
 近年、コンクリート構造物の早期劣化がクローズアップされ、大きな社会問題になっている。塩分環境下でのコンクリート中の鋼材腐食、アルカリ骨材反応、予想を大きく上回る交通量や車両の大型化など、劣化の原因が数多く報告されている。しかも、その劣化は、阪神高速道路、山陽新幹線、首都高速道路といった、非常に重要な構造物にまで及んでいる。半永久構造物の神話が崩壊するとともに、補修・補強工事によって耐用年数を延ばしていく必要に迫られている。したがって、コンクリート構造物の劣化程度や範囲、適切な補修時期などを知ることが重要であり、構造物の使用を一時たりとも停止することなく、非破壊的に劣化度を判定できる検査手法の確立が望まれている。
 AE(アコースティックエミッション)法は、非破壊試験の中でも材料内部の変化に伴って放出される弾性波を検出し、情報を得る受動手法の一つであり、時々刻々の動的な挙動が把握できるため、構造物を、常時あるいは定期的に監視することによって劣化程度を知る手掛かりになる可能性を持っている。しかし、検出信号の物理的意味が不明確であること、周波数帯が広いこと、信号が微弱であることなどの測定技術における問題と、弾性波の伝播に及ぼす材料特性の影響が明らかにされていないことなど材料自体の問題があり、その適用は実験室レベルにとどまっている。したがって、現段階では野外におけるモニタリングは困難な点が多く、むしろ、実構造物からサンプリングしたコアを実験室内に持ち込んで行う測定手法の方がより有効であると思われる。
 本研究では、(1)弾性波の伝播特性に及ぼすコンクリートの品質、クラックの存在、伝播距離の影響について実験的な検討をするとともに、(2)除荷の際、載荷板と供試体端面を完全に離してから再載荷する方式で、一軸繰り返し圧縮載荷試験を行った場合と、先行荷重を与えたコンクリートから切り出したサンプルを圧縮した場合のAEの発生状況を調べ、最大履歴応力を推定する手法について考察を加えた。
4.結論
 伝播特性に関する実験結果をまとめて示す。
(1)W/C、空気量の影響に比べ含水率の影響が大きく、含水状態によって伝播特性が大きく変化する。
(2)弾性波の伝播は、伝播垂直方向のクラックの存在およびクラック幅によって大きく妨げられる。
(3)伝播距離が20cmを越えるような場合には、弾性波の伝播の減衰が大きくなる。
(4)通常サンプリングされるコアは寸法が小さく、また圧縮試験時の伝播特性の変動も小さいことから、AE計測には良好な寸法である。
 最大履歴応力の推定手法に関する実験結果を次に示す。
(1)一軸繰り返し圧縮試験においては、テフロンシートを使用すれば、端面を完全に離してもカイザー効果が認められ、5%以内の精度で最大履歴応力の推定が可能である。
(2)先行荷重を与えたコンクリートから切り出したコアーによる先行荷重の推定を行った場合、ばらつきが大きく、推定不可能となる場合も認められる。その原因は材料内のクラック分布が不均一なことやパラメータで記録する計測システムに問題があると推定される。
PDFファイル名 008-01-0100.pdf


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