種別 | 論文 |
主題 | 含浸塗料の含浸深さに及ぼす各種要因の影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 沼尾達弥(茨城大学) |
連名者1 | 福沢公夫(茨城大学) |
連名者2 | 岩松幸雄(茨城大学) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 8 |
号 | 0 |
先頭ページ | 401 |
末尾ページ | 404 |
年度 | 1986 |
要旨 | 1.はじめに コンクリート構造物の早期劣化が社会問題化してから、コンクリートの保護材として塗料が見直されている。塗料には、(1)コンクリート表面に膜を形成する塗膜系塗料と、(2)コンクリート表層部に含浸して保護層を形戒し、空隙充填または発水性をもたせる含浸塗料に分けられる。前者は、金属の塗装には長年の使用実積があるが、コンクリートのような多孔質の材料には耐久性の点で適当とは考えられない。そこで、含浸塗料が考慮の対象となるが、これらは、これまで使用実績も少なく、効果に関しても2、3の報告はあるが、評価が定まっていない。含浸塗料を用いる場合、含浸層が形成され、それによって水分等の移動を遮断あるいは抑制することにより劣化防止の効果があると考えられるので、含浸深さを考慮した上で、効果についても議論することが必要である。ところが、既往の研究例では、この点に触れたものがなく、コンクリートの状態、塗料の施工方法等の要因が含浸深さに及ぼす影響について論じた例もない。 本研究は、上記の点を考慮し、効果を判定する標準的な試験方法の確立、含浸塗料を用いる場合の施工方法の確立、および含浸機構解明のための基礎的実験として、含浸塗料の種類、コンクリートの品質・施工方法、および塗料の塗布方法などの含浸深さへの影響を実験的に調べたものである。 4.まとめ 以上の実験結果より以下のことが言えよう。 (1)水セメント比が40、50および60%の範囲では、50%の場合に含浸深さが大きくなる。空気量が5%の場合に持にその傾向が強い。 (2)コンクリートの養生が十分に行われない場合においては、表面が粗いほど、乾燥期間の長いほど含浸深さが大きくなる。 (3)ハケ塗りとスプレー塗りでは、後者の場合の含浸深さが大きい。また、2回目を塗るまでの間隔の影響は、1時間と24時間で有意差はみられなかった。 (4)含浸塗料の種類により含浸探さが変化する。実験に用いた塗料の中では、ビニールエステル系および反応シラン系のものが大きく、モノシラン系およびアクリル系のものが小さかった。塗料の物性と含浸深さの関係については明確な関係をみつけることができなかったが、発水材を含むものの含浸量が小さくなっている。 (5)気中養生を行う場合の実験で得られた含浸深さの最大値は6.6mmであり、また、最小値は1mm以下である。このように、含浸深さは、各種要因の影響を受け易く、また、含浸深さの絶対値は決して大きくない。したがって、含浸塗料の施工にあたっては、(1)〜(4)の条件に留意して方法を定める必要がある。また、含浸塗料の評価は施工条件に合わせた方法で行うべきである。 |
PDFファイル名 | 008-01-0101.pdf |