種別 論文
主題 アラミド繊維補強セメント複合材(AFRC)の力学的特性
副題
筆頭著者 秋浜繁幸(鹿島建設)
連名者1 末永龍夫(鹿島建設)
連名者2 山口雅宏(帝人)
連名者3 中川裕章(鹿島建設)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 421
末尾ページ 424
年度 1986
要旨 1.はじめに
 芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)は、引張強度・弾性率などの力学的性質に優れ、さらに、耐熱性や耐薬品性など化学的にも安定な高分子繊維である。最近になり、同繊維をセメント糸マトリックスの補強用繊維として使用する研究が、かなり積極的に行われるようになり、アラミド繊維補強セメント複合材(AFRC)を各種建築部位に適用する検討がなされている。筆者らも、アラミド短繊維で補強したAFRCについて実験的研究を行い、この結果、AFRCの最適オートクレーブ養生温度は140℃で、このオートクレーブ養生により、乾燥収縮率が著しく低減されること、長期暴露による強度低下はほとんど生じないこと、などが確認された。そして、今回の実験では、AFRCの繊維混入による強度特性の向上を目的として、繊維補強効果に影響を及ぼす以下の要因について繊維混入率を変えて曲げ試験及び純引張試験を行った。
 a.マトリックスの種類
 b.繊維の表面処理の有無
 c.鉄筋による補強効果
 d.供試体の寸法効果
4.まとめ
 長さ6mmのアラミド短繊維を、4水準の繊維混入率で混入したAFRCについて、純引張試験及び曲げ試験を行った結果、以下の事項が明らかとなった。
a)AFRCの引張特性及び曲げ特性は、繊維を少量混入することにより向上し、繊維混入率の増加とともにその強度は増大する。
b)AFRCの繊維補強効果は、より緻密なマトリックスを使用した場合に顕著に現れる。これは、主に、繊維とマトリックスの付着力の増大によるものと考えられる。
c)繊維混入率が増加する、繊維の分散性が低下し、強度の増大率は徐々に低下する。しかし、その程度はマトリックスの種類により異なり、また、繊維に表面処理を施すことにより改善することができる。
d)大型梁部材(スパン1-180cm)を使用したAFRCの曲げ強度は、小型供試体(スパン1-10cm)の曲げ強度に比べ約30〜40%(ほぼ小型供試体の引張強度に相当)に低下する。
e)マトリックスに短繊維を補強し、さらに少量の鉄筋を併用することにより、梁部材の曲げ特性は累加的に向上する。
 以上より、アラミド繊維は、セメント系マトリックスの補強用繊維として優れた性質を有していることが確認された。今後は、マトリックスの改良・繊維の表面処理などにより、繊維の分散性及び繊維とマトリックスとの付着性をさらに高め、AFRCの力学的特性の向上を図っていくつもりである。
PDFファイル名 008-01-0106.pdf


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