種別 論文
主題 非対称フシを有する異形鉄筋の曲げ部材に対する補強効果
副題
筆頭著者 田澤栄一(広島大学)
連名者1 井上毅(東京工業大学)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 573
末尾ページ 576
年度 1986
要旨 1.まえがき
 鉄筋コンクリート部材に生ずる曲げひびわれを制御することは、鉄筋コンクリートの耐久性の面から大いに重要である。しかし、このひびわれは鉄筋のかぶり側だけが対象であり、対称な断面を持つ現在の異形鉄筋がこのひびわれに関して理想的な力の伝達を行なっているか否か未だ明らかにされていない。
 そこで本研究では、従来の異形鉄筋の片側のフシを削り落とした“非対称フシ”を有する異形鉄筋を用いて、鉄筋のフシの非対称性が鉄筋コンクリート梁の曲げ性状に及ぼす効果を調べ、さらに鉄筋を非対称にすることによって、許容応力程度の同一鉄筋応力において、ひびわれ幅を低減できる可能性について検討したものである。
4.結論
 異形鉄筋の片側のフシを削り落とした”非対称フシ”鉄筋は、両引き試験において、その付着性状は、普通異形鉄筋に比べると、相当劣る結果となった。しかし、この鉄筋を曲げを受ける梁の引張鉄筋として用い、かぶり側にフシのある側を配置すると、同一鉄筋応力において、曲げひびわれ幅は大きくならないまた逆に、かぶりと反対側にフシのある側を配置すると、ひびわれ幅は大きくなるか、梁の耐力の低下は見られない。すなわち、かぶり側とかぶりと反対側では、鉄筋からコンクリート、コンクリートから鉄筋の応力の伝達の機構が異なると思われる。従って、かぶり側の鉄筋のフシとかぶりと反対側の鉄筋のフシでは、梁の曲げ性状におよぼす効果は異なる。つまり、かぶり側のフシは梁の曲げひびわれ性状に、かぶりと反対側のフシは梁の終局耐力に影響をおよぼすと考えられる。
 また本報告では、同一鉄筋応力において、普通異形鉄筋の片側のフシを全て削り落とした“非対称フシ”を有する鉄筋を用いた梁の曲げひびわれ幅は普通異形鉄筋よりも、若干大きくなった。しかし、ひびわれ性状に影響をおよぼす鉄筋のフシがかぶり側のフシであるという本実験結果から、曲げひびわれ幅を従来の普通異形鉄筋よりも低減するためには、鉄筋は必ずしも対称断面が理想的ではなく、非対称、すなわち、かぶり側の鉄筋のフシの数をかぶりと反対側のフシよりも多くするか、あるいはフシの高さをより高くするのがよいと考えられる。これによって、かぶり側への応力伝達がよくなり、ひびわれの分散性を増すことによって、一本当りのひびわれ幅を低減できるのではないかと考えられる。
PDFファイル名 008-01-0144.pdf


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