種別 | 論文 |
主題 | 大変位の繰返しによりせん断破壊するRC部材の変形能力 |
副題 | |
筆頭著者 | 檜貝勇(山梨大学) |
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キーワード | |
巻 | 8 |
号 | 0 |
先頭ページ | 769 |
末尾ページ | 772 |
年度 | 1986 |
要旨 | 1.まえがき 鉄筋コンクリート橋脚のように、比較的スレンダーで軸方向鉄筋比の小さな部材においては、強震時に作用するような交番する大変位の繰返しによって、軸方向鉄筋が降伏した後にせん断破壊を起こす場合がある。この種の破壊は部材の変形能力を著しく制限し、構造物の耐震性を損なうおそれが大きい。著者は、RC橋脚を単純化した、腹鉄筋を用いない、軸力が作用しない張出しはり型供試体を用いた交番載荷実験を行って、曲げ降伏後におけるせん断破壊の性状を検討してきており、これまでに以下の知見を得ている。 (1)せん断破壊のモードは、次の3つに大別される。 1)固定端から部材有効高さ(d)程度までの区間にX字状の斜ひびわれが発生し、固定端からdだけ離れた断面(d断面)付近で軸方向鉄筋が降伏すると、この斜めひびわれの幅が急激に拡大して耐力を失う(Mode 1)。 2)Mode 1と同様にX字状の斜ひびわれは発生するが、d断面付近で軸方向鉄筋が降伏しても破壊には至らず、さらに変位を増加させた後に固定端から2d離れた断面(2d断面)付近で軸方向鉄筋が降伏すると、その近傍から斜ひびわれが発生・発達して急速に耐力を失う(Mode 2)。 3)斜ひびわれは十分に発達しないが、鉄筋の降伏および引き抜けに伴って固定端断面の曲げひびわれ幅が拡大し、この断面でのせん断伝達能力が低下することにより耐力の低下に至る(Mode 3)。 (2)せん断破壊時のじん性率(DF)はせん断スパン比(a/d)、軸鉄筋比(p)およびコンクリート圧縮強度(fc’)の函数として(1)式によって推定することができる。 DF=1+1.86(100p)-1.07(a/d)0.317(vc/vy-1)0.772 (1) vc=0.94fc’1/3(0.75+1.4d/a)(√100p+4√100/d-1) vy:固定端断面で軸方向鉄筋が降伏する時のせん断応力度 これらの結論の基礎となった実験は、Pおよびa/dについては広い範囲をカバーしているが、fc’は300〜400kg/cm2の範囲にあり、fc’の影響に関する検討は十分ではない。本研究は、fc’を150〜550kg/cm2に変化させた8体の供試体を用いて載荷試験によって上記結論の妥当性を検討する事を目的としたものである。 5.結論 大変位の繰返しによって軸方向鉄筋が降伏した後にせん断破壊を起こすような、腹鉄筋のない張出しはりの破壊挙動を実験的に検討した結果、以下の結論が得られた。 (1)コンクリートの強度が変化するとせん断破壊のモードも変化する場合があるが、破壊モードはじん性率と密接な対応関係にあるので、じん性率を推定することができれは、せん断破壊のモードも推定できる。 (2)せん断破壊時のじん性は、軸方向鉄筋比(p)、せん断スパン比(a/d)および、曲げ降伏耐力に対するせん断耐力の余裕を示すvc/vyの値によって、(2)式のように表すことができる。 |
PDFファイル名 | 008-01-0193.pdf |