種別 | 論文 |
主題 | 高温の影響を受けるコンクリートの力学的特性に及ぼす骨材種類の影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 田澤栄一(広島大学工学部) |
連名者1 | 南和孝(防衛大学校土木工学教室) |
連名者2 | 影山智(広島大学工学部) |
連名者3 | 渡辺恭史(復建調査設計) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 1 |
先頭ページ | 13 |
末尾ページ | 18 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.まえがき コンクリートが複合時と異なる温度、すなわち極高温で使用される構造物においては、コンクリート中の毛管水およびゲル水の脱水、さらにセメントペーストと骨材あるいはモルタルと粗骨材との熱膨張係数の相違によって各相に生じる自己応力(本研究では微視的温度応力と称する)による骨材界面における微小ひびわれの形成等のコンクリートの内部構造の変化に伴い、コンクリートの熱的および力学的性質は常温で使用される場合とは著しく異なる。 マスコンクリートのひびわれ制御指針1)によるとコンクリート中のマイクロクラックの発生の制御に関し、熱膨張係数の小さい骨材を使用することが望ましいとされているが、このことは骨材の界面における微小欠陥の増加につながりコンクリートの力学的性質の低下を引き起こすものと推察される。また、天然骨材資源の枯渇により砕石および砕砂の使用が増大している今日ではこれらの骨材の熱的および力学的性質を十分に把握し、この種のコンクリートにおいてより有効に使用することが重要な課題である。したがって、高温下で使用されるコンクリート構造物の耐久性、安全性および信頼性を確保するためには、上記のような各種要因の影響を考慮したこの種のコンクリートの性質の解明が極めて重要である。 そこで、本研究は種々の岩種の骨材を使用したコンクリートの高温の影響を受ける場合の力学的性質を測定し、この種のコンクリートの力学的特性に及ぼす使用骨材の岩種の影響を検討すると共に、毛管水およびゲル水の脱水あるいは微視的温度応力の発生に伴う微小ひびわれの形成等のコンクリートの内部構造の変化の影響について合わせて検討した。 7.結論 高温の影響を受けるコンクリートの力学的特性に及ぼす骨材の岩種の影響を力学的性質の測定、あるいは種々の要因の分析により検討を行ったがこの結果をまとめると以下のようである。 高温の影響を受けるコンクリートの圧縮強度および弾性係数は全般的に低下する傾向にある。特に、高温履歴を受ける場合にはその傾向は著しい。また、使用した骨材の岩種の組合せによりその傾向は相違する。これらの要因として、コンクリート内部の毛管水およびゲル水の脱水は重要であるが、これに加え本研究において示した微視的温度応力の発生に伴う微小ひびわれの形成も重要な要因であることが実験結果より明かとなった。この微視的温度応力の発生に伴う微小ひびわれの形成は高温の影響を受けるコンクリートの力学的性質の低下を引き起こす。さらにこの応力は使用骨材の岩種の組合せにより変化するため微小ひびわれの形成量も異なり、力学的性質の低下率は骨材の岩種の影響を受ける。以上のことから、高温の影響を受けるコンクリートに関して、コンクリート内部の微小欠陥の発生を抑止するにはコンクリートに使用する骨材の組合せは重要な問題であり、モルタルと粗骨材との熱膨張係数の差の低減が必要であると考えられる。 |
PDFファイル名 | 009-01-1003.pdf |