種別 論文
主題 軽量コンクリートのポンプ圧送に用いる圧力吸水抑制剤に関する研究
副題
筆頭著者 米澤敏男(竹中工務店技術研究所)
連名者1 吉岡保彦(竹中工務店技術研究所)
連名者2 岩清水隆(竹中工務店技術研究所)
連名者3 阪上邦夫(三洋化成工業研究本部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 25
末尾ページ 30
年度 1987
要旨 1.まえがき
ポンプによるコンクリートの打設は、コンクリートの効率的な打設方法として広く普及しており、軽量コンクリートの場合もポンプで打設されることが多い。容積で40〜50%の空隙を含む多孔体である人工軽量骨材は、圧送時の高圧力によりコンクリート中の水を吸水(圧力吸水)する。その結果、コンクリートの流動性が低下し、ポンプ圧送が難しくなる。この圧力吸水を少なくするために、ポンプ施工される軽量コンクリートに用いる軽量骨材は、製造工場であらかしめ吸水させる(プレウエッチング)とともに、コンクリートの単位水量を大きくし、必要に応して流動化剤を用いることにより施工される。しかし、プレウエッチングした軽量骨材を用いたコンクリートは、凍結融解作用に対する抵抗性が極めて低く、北極洋に建設される石油プラットホームや寒冷地に建設される土木構造物等には適用することが困難である。また、ポンプ圧送のために軽量コンクリートの単位水量が、大きくなる傾向にあることもコンクリートの品質上は望ましくない。したがって、軽量骨材のポンプ施工時の圧力吸水をプレウエッチングによらない方法で抑制することができれば、ポンプ施工される軽量コンクリートの適用分野の拡大と品質の向上に寄与すると考えられる。
この研究は軽量骨材表層部の空隙に高粘性層を形成することを原理とする、絶乾骨材を用いた軽量コンクリート用の圧力吸水抑制剤(以下「抑制剤」と略記する)の基本的性質を、圧力吸水試験、力学的特性試験およびポンプ圧送実験の結果から考察したものである。

5.結論
絶乾の軽量骨材を用いた軽量コンクリートのポンプ圧送を目的として開発された圧力吸水抑制剤の基本的性質について以下の結論を得た。
(1)抑制剤の作用は、同抑制剤の濃度と添加量により変化するが、ある添加量以上では添加量を増しても圧力吸水抑制作用が増加しなくなる。その添加量は、骨材ESでは骨材絶乾重量の3%強、骨材FAでは1.5%程度である。
(2)抑制剤の作用は、骨材表層に浸透した同抑制剤の高い粘性によるが、抑制処理した骨材に直接圧力を加える時には、みかけ上骨材表面に残留する抑制剤も圧力吸水低減に寄与している。しかし表面に残留する抑制剤の作用は、コンクリート練り混ぜ時の機械的作用により失われる。
(3)抑制処理を行った骨材を用いたコンクリートの圧縮強度と静弾性係数は、骨材ESの場合には、無処理骨材を用いたコンクリートとほとんど変わらないが、骨材FAの場合には、ある程度の低下(5〜15%)が見られる。
(4)抑制剤で処理した骨材FAを用いたコンクリート(W/C=40%、単位水量=168kg/m3)は、絶乾の骨材を用いたものであるが、ポンプ圧送可能であった。また、抑制処理をした絶乾の骨材FAを用いたコンクリートは、圧送時にある程度の吸水を伴うため、圧送中特有の管内圧分布や、圧送前後の圧縮強度の差(強度増)を示す。
PDFファイル名 009-01-1005.pdf


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