種別 論文
主題 構造物モデルによるコンクリートの異方性調査
副題
筆頭著者 十代田知三(芝浦工業大学工学部)
連名者1 横尾和人(芝浦工業大学大学院)
連名者2 小林幸一(芝浦工業大学大学院)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 139
末尾ページ 144
年度 1987
要旨 1.緒言
著者らの研究室では、コンクリート構造物において打設後まだ固まらないうちの分離現象によって生ずる硬化後の欠陥を、内部の巨視的異方構造として把え、その実態と要因を明らかにして材料・設計・施工上の資料を得るとともに、複合材料としてのコンクリートの品質評価方法を、この観点から確立することを目的として、20年来、実験研究を進めてきている。
これまでの結果を要約すれば、コンクリート中粗骨材下面の欠陥群は打設方向に直交する弱層を形成することから、その内部構造は異方性をもつことを、打設方向およびそれに直角方向の引張強度を求めることにより明らかにし、この異方性はモルタルマトリックスの分離性状と骨材群の架構作用および粗骨材の粒経・量に大きく依存することを示した。また、ブリージング・チャンネルの影響も無視できないことを指摘した。これらの研究の中で、フレッシュコンクリートの分離抵抗性や硬化後の骨材とマトリックスとの付着性の評価、構造欠陥の検出、などに打設方向を考慮した引張試験が有用であることを示した上、新しい材料や工法の評価にも応用した。
上述の結果は主として15cm立方供試体について得られたものであるが、構造物における実態を知るため、実大モデル実験を3シリーズ行った。これらの実験は3年間に亙り、かつ多目的に行われたので、種々の題目により逐時発表されてきたが、今回は3シリーズを通し、異方性の観点から総括し、特に、最近需要の増しつつある高強度コンクリートについても検討を加えた。
なお最近の関連研究としては、Zielinskiらの2篇の論文[1、2]がコンクリートを異方性材料として把える視点の重要性を示すものとして特筆に値すると言えよう。

5.結語
供試体による実験室実験で得られた知見は、実大モデル実験により裏付けられ、さらに打設深さの増大等により広げられた。特に、圧縮強度の高い調合や単位水量の比較的少い調合・ブリージングの少い調合にも認められた引張異方性の傾向は、骨材下面の欠陥の存在のみならず水平鉄筋や垂直鉄筋ふしあるいはPCシースなどの下面の欠陥をも示唆するものである。これらの欠陥がコンクリート構造物の耐力や耐久性に与える影響が大きいことを考えると、材料の選択・調合の決定から詳細を含めた設計・仕様、さらに施工管理・検査まで一貫して“複合材料”という視点を失わないことが肝要と思われる。とりわけ、最近の傾向である高強度化や鉄筋の太径化にあたっては慎重な検討と計画が望まれる。
PDFファイル名 009-01-1025.pdf


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