種別 | 論文 |
主題 | セメントモルタルの細孔分布に及ぼす初期高温養生の影響 |
副題 | |
筆頭著者 | 平井和喜(東北大学工学部) |
連名者1 | 成田健(東北大学工学部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 1 |
先頭ページ | 163 |
末尾ページ | 168 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.緒言 建築及び土木関連施設に使用されているコンクリート製品は早期強度の増進と生産の効率化を計る目的で、通常蒸気等による高温養生が行われている。セメントの水和反応は温度と共に増進されるが、反応生成物の組織が粗大化する傾向にあることは既に認められており、したがってコンクリート製品の養生に際しては前置時間、昇温速度及び最高温度等に一定の制限を設けて品質の劣化を防ぐ方法が採られている。 しかし寒冷地域で使用されているコンクリート製品の中には凍害現象と推察されるクラックや組織破壊を招いている例がみられ、その発現の特徴的な点は、使用されている製品全体に一様に損傷が生じているのではなく、損傷の受けている製品単体と全く鍵全な製品単体が混在していることである。このような損傷の生じ方について高温養生に関する既往の文献と製品の製造工場における蒸気養生の方法を考え合わせると、コンクリート製品の製造時における養生条件の相違-前置時間、昇温速度、最高温度、後養生等-が部分的に生じていることにその原因があるのではないかと推察される。 以上のような観点から、本文はモルタルの細孔分布が養生条件により著しく異なる点に着目しながら、高温養生条件の変化がモルタルの細孔分布に及ぼす影響を明らかにすると共に、細孔分布の形状変化と養生条件との関係をもとに、コンクリート製品の養生条件を推定することの可能性について考察する。 4.結語 高温養生条件の相違がモルタルの組織に及ぼす影響を細孔容積及び細孔分布形状をもとに検討した結果をまとめると次のようになる。 (1)前養生時間の長短は標準温度養生の場合におけるモルタルの総細孔量の減増に関係する。 (2)総細孔量の減少を計るためには、いかなる養生条件下で養生したものであっても、材令7目前後までの後養生の効果が非常に大きい。 (3)初期養生条件によってモルタルの細孔分布形状が非常に異なる。この事を利用することによっておおよその養生条件を推定することが可能である。 (4)細孔分布形状のピークを示すレンジは前養生時間が短い場合、比較的高温或は高速昇温の場合には標準的養生を行ったものよりもより高レンジ側にあり、後養生によって低レンジ側に移行する傾向にある。ただし、前養生時間が2時間の場合は、初期から低レンジを示している。 (5)養生温度及び昇温速度の影響は細孔分布の第5〜8レンジ(24〜240nm半径)の勾配に明確に現れ、特に標準温度養生と高温或は高速昇温養生の違いは明らかに区別することが可能である。 |
PDFファイル名 | 009-01-1029.pdf |