種別 論文
主題 添え筋と吹付モルタルによるRC床版補強工法に関する実験的研究
副題
筆頭著者 吉野伸一(JR北海道)
連名者1 石橋忠良(JR東日本)
連名者2 渡辺忠朋(鉄道総合技術研究所)
連名者3 峰松敏和(住友セメント製品事業部)
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
1
先頭ページ 305
末尾ページ 310
年度 1987
要旨 1.概要
最近、コンクリート構造物の耐久性が深刻な社会問題となっており、これらコンクリート構造物の劣化、変状に対する補修・補強工法の確立が急がれている。
本文は劣化RC床版の補強工法として、スラブ下面に新たに鉄筋を増設し、これにモルタルの吹付を行い、増設した鉄筋およびモルタルによって構造物を維持する工法に関して検討した結果について述べるもので、本工法は増設した鉄筋に基く補強設計が可能となる利点を有している。実験としては、まず劣化RC床板を想定した梁供試体による静的載荷試験および打継目付着強度試験を実施[1]し、その結果を踏まえ、大型のスラブモデル供試体による振動載荷試験を実施した。検討項目としては、旧コンクリートと吹付モルタルとの付着特性、増設した鉄筋(以下添え筋と呼ぶ)および吹付モルタルによる耐力改善効果に着目し、本補強工法の実用性を明らかにした。

5.結論
添え筋と吹付モルタルによるRC床板補強工法について検討した結果、本補強工法はコンクリート構造物の耐力向上に非常に有効であり、十分実用可能な工法であることが明らかとなった。
一連の試験結果を要約すると以下の通りである。
(1)旧コンクリート構造物に新たに補強鉄筋を増設し、吹付モルタルによりかぶり厚さを確保する本工法により、明らかな補強効果が期待出来る。
(2)本工法による補強効果は、鋼繊維の混入による影響を適切に評価すれば、定量化可能であると考えられる。
(3)吹付モルタルの施工においては、吹付施工後供用までの養生時間に十分注意し、適当な吹付材料を選定しなければ、所定の補強効果が得られないばかりか、供用直後の列車振動等により吹付モルタルのはく落、ひびわれの発生等の恐れがある。
(4)添え筋の定着方法としては、旧鉄筋へのフレアー溶接法および旧構造物へのアンカー法のいずれを用いてもほぼ同様の補強効果が得られる。
(5)補強鉄筋の配置間隔は15cm以上の間隔があれば吹付工に何ら支障を生ずることなく、所定の補強効果が得られる。
(6)旧コンクリートと吹付モルタルとの打継目界面の処理方法としては、ブラスト処理による方法が優れており、更に適当なプライマーを用いれば長期にわたって安定した打継目付着強度が得られる。
(7)打継目付着強度に振動試験開始材令、配力筋の有無、補強鉄筋間隔およびかぶり厚さの影響はほとんど認られなかった。しかしながら、吹付モルタル中にラミネーションが発生すると打継目よりもむしろ低い引張強度となるため、吹付工においてはラミネーションの発生を極力防止することが必要である。
なお、以上の結論に基いて、本工法を用いた補強工事も既に試験施工されている。
PDFファイル名 009-01-1053.pdf


検索結果へ戻る】 【検索画面へ戻る