種別 論文
主題 16年材令プレストレストコンクリート中のPC鋼棒の性質
副題
筆頭著者 山下英治(高周波熟錬製品事業部)
連名者1 池上由洋(高周波熟錬製品事業部)
連名者2 岡田英三郎(花王化学品本部)
連名者3 大浦昭治(東扇アサノポール)
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 345
末尾ページ 350
年度 1987
要旨 1.緒言
コンクリートの高強度・高品質化は高性能滅水剤や流動化剤など種々の優れた混和剤の使用により実現されているが、その反面コンクリート中に含まれる塩分に起因した鋼材の腐食が大きな問題となっている。元来、多孔性であるコンクリートに塩分(Cl-イオン)が侵入すると鋼材の不動態被膜破壊や濃度差による局部腐食を生じて、鋼材の劣化を招くことがよく知られており[1]、[2]、こうした問題は高強度コンクリートとPC鋼材を用いた遠心力成形プレストレストコンクリート(PC)パイルの場合においても例外ではない。
しかしながら、コンクリートの構成材料である混和剤や、製造時に不可避的な混入を伴う塩分の混入量がPCパイル中の鋼棒の腐食や機械的性質、コンクリートの諸物性およびパイル特性に与える影響を長期的に調査した例は少ない。そこで本研究は、これらの知見を得ることを目的として9.2mmのPC鋼棒と、減水剤や塩化カルシウムを意図的に添加した数種類のコンクリートを用いて遠心力成形PCパイル供試体を作製し、大気中での暴露を16年間維続した後、供試体パイル中のPC鋼棒の発錆状況観察、引張試験、SEM(走査型電子顕微鏡)による破面解析およびパイルの曲げ強度試験を行い、コンクリート中の混和剤や塩分がPC鋼棒の性質やコンクリートの諸物性に及ぼす影響を調査したものである。

4.結論
以上の試験結果から材令5年および16年におけるコンクリートの諸物性およびプレストレストコンクリート中のPC鋼棒について次のような知見を得た。
(1)各配合のコンクリート供試体の圧縮強度およびヤング係数などは材令16年後でも十分な性能を維持し、中性化も起こっていなかった。
(2)コンクリート中に塩分を含まないPCパイルにあっては材令16年でもPC鋼棒の発錆はなく、また鋼棒の機械的性質の低下も認められなかった。
(3)PC鋼棒の腐食に対し、滅水剤の使用は材令16年においても何ら影響を与えないが、塩化カルシウム(CaCl2・2H2O)がセメント重量に対し1%以上含有された場合にはその添加量に比例して発錆量が増加し、鋼棒の強度は維持されるものの伸びは低下する。
(4)塩分を含むコンクリート中でのPC鋼棒の発錆は、材令5年以降11年間での増加は見られなかった。
(5)SEMによる破面解折から、発錆が著しく伸びが低下したPC鋼棒においても、鋼棒自身の脆化はなかった。
(6)各供試体パイルは鋼棒発錆の有無にかかわらず材令16年後でも十分な曲げ特性を維持していた。
PDFファイル名 009-01-1061.pdf


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