種別 | 論文 |
主題 | コンクリート中の鉄筋への誘導電流に関する実験的研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 飯田和弘(関電工電力開発本部) |
連名者1 | 高永敏行(関電工電力開発本部) |
連名者2 | 富田六郎(日本セメント中央研究所) |
連名者3 | 綾田隆史(日本セメント中央研究所) |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 1 |
先頭ページ | 375 |
末尾ページ | 380 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.はじめに 大電力を効率的、かつ経済的に輸送する際に採用されている単相のガス絶縁母線は、コンクリート基礎からの離隔距離が短く、漏洩磁束による電磁誘導作用によりコンクリート中の鉄筋に電流が誘起され、コンクリート構造物に温度上昇、ひびわれおよび付着強度の低下等悪影響を与えることが予想される。本研究はこのような障害の発生する可能性を考慮して、種々の条件のもとでRC部材の鉄筋に誘起される電流量を測定し、誘導電流特性に及ぼすコンクリートの影響及びその防止策、さらに過大な電流が流れた場合の鉄筋コンクリート部材の特性について検討したものである。 6.まとめ 実際の構造物は鉄筋の短絡状況、コンクリートの含水率、熱拡散の状況、接地条件等電気的特性に影響を及ぼす多くの要因が複雑に介在しており、電流が誘起された場合の鉄筋コンクリート部材の挙動を推測することは難しい。本試験は比較的単純なモデル供試体を用いることによって、RC部材への誘導電流及び通電時のコンクリートの破壊状況を基礎的に検討したものであり、その結果以下の結論を得た。 (1)部材内の鉄筋に誘起される電流は、母線電流が増大するほど、また母線との距離が短くなるほど大きくなり、母線との距離が100mmの場合母線電流のl%程度である。 (2)部材内の鉄筋に誘導される電流を理論計算から推測することが可能である。 (3)コンクリートに導電性物質を混入した場合、混入量の増加に伴い鉄筋に誘導される電流は若干大きくなる。また供試体が放水状態であると誘導電流は若干大きくなる。 (4)部材を導電率及び透磁率の大きな金属で被覆すると、誘導電流を大幅に低減することができる。厚さ4mmの鋼板で部材を被覆することにより誘導電流を約60%低減できる。 (5)コンクリートの密度を大きくすると誘導電流は若干小さくなる。またかぶりを大きくすることでも誘導電流をわずかながら小さくできる。 (6)部材内の鉄筋径が大きいほど誘導電流は大きくなる。しかしながら、鉄筋に流れる電流が等しければ鉄筋径の二乗に反比例して鉄筋の濃度上昇は小さくなる。したがって、誘導電流による鉄筋の温度上昇を抑えるためには鉄筋径を大きくすることが有効である。 (7)本試験の方法によれば、400A以上の通電でRC部材内にはひびわれが発生する。また鉄筋温度が100℃程度まで上昇することで、付着強度の低下が生ずる。 |
PDFファイル名 | 009-01-1066.pdf |