種別 | 論文 |
主題 | 塗装されたコンクリート中の鉄筋腐食の電気化学的評価法に関する研究 |
副題 | |
筆頭著者 | 多記徹(大日本塗料中央研究所) |
連名者1 | 田辺弘往(大日本塗料中央研究所) |
連名者2 | 片脇清士(建設省土木研究所化学研究室) |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 1 |
先頭ページ | 387 |
末尾ページ | 392 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.まえがき コンクリート構造物中の鉄筋が腐食すると、体積膨張により、コンクリートにひびわれが発生し、ひどい場合は崩壊に到るなど深刻な事態を引き起すため、近年来、鉄筋腐食のメカニズムの解明がさかんに試みられている。コンクリート中の鉄筋が腐食する原因はCl-による不働態皮膜の破壊、あるいはコンクリートの中性化などが考えられるが、コンクリートの中性化進行速度は一般に遅く、多くの場合、表面から2-3cmどまりと考えられており、鉄筋の腐食は主としてCl-に起因すると考えてよいと思われる。外部からのCl-の侵入を防ぐにはコンクリート表面を塗装すれば良いと考えられ、また既に内部にCl-を含む場合も塗装することにより水分の侵入を防げばCl-が移動して鉄筋に達するのを抑制できると思われる。 元来、コンクリート中の鉄筋腐食の評価法としては、実構造物では自然電位測定、実験室的には電位走査法による分極試験[1]などが行なわれているが、これらの研究はいずれも無塗装のコンクリートを対象としており、塗膜を介しての測定は、一般に塗膜の電気抵抗が高いために、塗膜抵抗の補償ができず困難とされている。一方、カレントインタラプター法は短時間で測定できると同時に、塗装鋼の金属界面と塗膜におけるような時定数の大きく異なる2つの分極環象を分離できるために、高抵抗塗膜下の分離現象の所定が可能であり、筆者らは既に塗装鋼板の塗膜下腐食の観測にカレントインタラプター法を適用し、良好な結果を得ており[2]、本研究においても適用可能と考え、検討した。 4.まとめ 本研究から得られた結果をまとめると次のようになる。 (1)塗装系Cのような、塗膜の電気抵抗が非常に高い系においてもカレントインタラプター法による分極推抗の測定が可能であることがわかった。 (2)供試体の破壊調査結果から、既に0.5%程度の高濃度の塩分を含有するコンクリートに対しても、塗装は有効であると考えられる。 (3)一般にコンクリート中の鉄筋腐食の評価には自然電位の測定が採用されるが、本研究における塗装系Cのような高抵抗の塗膜で被覆されたコンクリート中の鉄筋がかなり卑な電位を示したにもかかわらず、腐食が観察されなかった実験結果から考えると、このような高遮蔽性の塗膜を被覆したコンクリート中の鉄筋の腐食を自然電位のみで評価することは適当でないと思われる。 (4)電気抵抗の高い塗膜を有する系では、長期間にわたって高い分極抵抗を維持することから、長期間にわたる鉄筋の防食効果が期待できると思われる。 |
PDFファイル名 | 009-01-1068.pdf |