種別 論文
主題 防食性能に対するコンクリート品質の影響
副題
筆頭著者 国府勝郎(セメント協会研究所)
連名者1 片脇清士(建設省土木研究所)
連名者2 町田武(プレストレストコンクリート建設業協会)
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 393
末尾ページ 398
年度 1987
要旨 1.まえがき
本研究は「飛沫帯におけるコンクリート構造物の防食技術に関する研究」として、大井川沖の海洋技術総合研究施設で行っているコンクリートの品質、樹脂塗装鉄筋、コンクリート塗料などについての総合的な研究[1]の一部で、暴露予定期間10年のうち2年経過したものである。暴露期間が短いため、鋼材は未だ腐食するに至っていないが、塩化物の浸透深さや中性化深さなどについては、コンクリートの品質との関連から一応の評価が可能であるので、長期試験の途中経過を明らかにしておくものである。
コンクリートはゲル空隙および毛細管空隙を有する多孔性の材料である。この多孔性は使用材料、配合、養生条件等によって変化する。コンクリート構造物の塩害防止の基本は、塩化物の浸透拡散を可能にする多孔性を制御することである。このような観点からセメントの種類、水セメント比、養生条件の組合せによって変化するコンクリートの細孔構造を試験するとともに、塩化物の浸透、中性化などを検討した。また、多孔性を利用して樹海などを含浸させ、コンクリート構造物への塩化物の浸透拡散を抑制しようとする試みがある。この含浸材には種々の成分のものが提案されているが、参考となる資料は数少なく、含浸材自体の耐久性も不明である。ここでは含浸材を塗布した供試体の暴露2年における遮塩効果を検討した。

4.まとめ
この研究は、塩化物の拡散を支配する主要因として細孔構造に着目し、その経時変化と塩分含有量や浸透深さおよび含浸材の遮塩効果などについて、10年間にわたる海洋環境への暴露試験のうち、暴露2年までに得られた結果について述べたものである。経過年数が短く十分な検討ができないが、これまでに明らかにされた事項は次のようである。
(1)材令1ケ月程度の初期材令においては、コンクリート中のモルタル部分の細孔径分布はセメントの種類によって大きな差があるが、1年程度を経過すれは大差ない結果であった。早強セメントは長期にわたる細孔容積の減少が小さく、高炉セメントは初期材令では空隙が多いものの、1年程度の間には他のセメントの細孔容積と同等程度以下となった。
(2)海洋環境に暴露した供試体の塩分含有量あるいは中性化深さは、初期の養生程度が良好なものほど、また水セメント比が小さいものほど少ない傾向が認められた。養生条件の相違による初期材令の細孔径分布が、塩分の浸透に影響を与えている可能性が示唆された。
(3)含浸材を塗布した梁試験体の表層部の塩分含有量は、全般に無処理の値よりも少なく、材令2年までの範囲では含浸材の遮塩効果が認められた。
(4)現在市販されている含浸材には主成分の相違、機能の異なるものなどがあり、これらをコンクリートに含浸した場合の耐久性および遮塩性能には大きな差がある。この試験結果ではアクリルモノマー、ビニルエステル樹脂、シリコンオリゴマーおよびポリエステル樹脂が比較的良好な結果を示した。
PDFファイル名 009-01-1069.pdf


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