種別 | 論文 |
主題 | コンクリート内部で発生したアコースティック・エミッションの伝播特性 |
副題 | |
筆頭著者 | 山田和夫(愛知工業大学工学部) |
連名者1 | 小阪義夫(名古屋大学工学部) |
連名者2 | |
連名者3 | |
連名者4 | |
連名者5 | |
キーワード | |
巻 | 9 |
号 | 1 |
先頭ページ | 499 |
末尾ページ | 504 |
年度 | 1987 |
要旨 | 1.まえがき 材料内部の微小破壊に伴って発生する応力波を測定の対象とするAE(Acoustic Emission)法は、コンクリートの内部破壊過程を追跡するための在来計測手法と比較して、材料内部の変形、破壊などの微小変化を動的かつ高感度に検出できるという点で格段に優れている。そのため、筆者らも、コンクリートの微視的破壊機構を解明するためにAE法を連用し、静的載荷時のAE挙動や繰返し載荷時のカイザー効果並びにAEの周波数特性など、コンクリート内部で発生するAEの基礎的特性を調べるとともに、AE法による破壊源探査や微視的破壊過程の追跡などを試み、AE法の妥当性や可能性を確かめるための一連の検討を行ってきた[1]-[4]。 通常、検出されたAEは、計測システムやセンサーの特性、コンクリート中を伝播する時の減衰特性など、多くの要因の影響を受けるため、AE法を破壊機構解明のための有力な測定方法として確立するためには、まずAEの伝播・減衰特性の詳細を正確に把握することが肝要である。そのための手段の一つとしてのAEの原波形解析手法は、AEの発生から検出までの過程を時間に対して線形系であるものと仮定して定式化を行い、検出波形から源波形を推定しようとするものであり、破壊機構解明のための有力な手法になりうるものと期待されている[5]-[9]。 本研究では、そのAEの原波形解析手法を適用し、コンクリート内部で発生するAE、すなわち源AEの実態を正しく把握するための手法の確止を目的とし、その第1段階として、コンクリートの累積損傷とAEの伝播・減衰特性との関係について検討することとした。 4.結論 本研究では、AEの源波形を推定する際に必要なコンクリートの伝達関数に及ぼす累積損傷の影響について一連の検討を行った。得られた結果を要約すると、およそ次のようになる。 1)漸増、定荷重および定ひずみ繰返し荷重を受けるコンクリート中を伝播した矩形パルス波の伝播速度、最大振幅および初動振幅は、載荷繰返し回数が増加して試験体の劣化が進行するに伴って減少する。 2)コンクリートの伝達関数は、載荷前の段階では100〜200kHzの周波数成分が卓越している。しかし、載荷によりコンクリート内部の損傷が進行するとともに、高周波数成分、特に100〜200kHzの周波数成分の減衰が著しくなり、最終的には100kHz以上の周波数成分が殆ど消失する。 3)コンクリートの伝達関数は、コンクリートの内部構造の変化に伴って時々刻々と変化するため、載荷中に発生したAEの原波形解析を行う際には、その実態を明らかにする必要がある。 |
PDFファイル名 | 009-01-1089.pdf |