種別 論文
主題 AE法による鉄筋コンクリート梁の一次元破壊進展位置標定に関する研究
副題
筆頭著者 山本貞明(東京大学大学院)
連名者1 魚本健人(東京大学生産技術研究所)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
9
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先頭ページ 511
末尾ページ 516
年度 1987
要旨 1.はじめに
近年、国道のPC橋や、新幹線の高架橋などの重要なコンクリート構造物の早期劣化が大きな社会問題となっている。コンクリート構造物の劣化原因には多くのことが考えられるが、道路橋や鉄道橋の場合には、設計当初の予想をはるかに上回る交通量や車両の大型化が原因の一つであると考えられる。これらのコンクリート構造物を使用していくためには、適切な維持・補修を実施していかなければならないが、その場合コンクリート構造物の劣化が進行しているのか否か、また、どこで劣化が進行しているのかを的確に把握することは、その構造物の寿命を知る上でも、また適切な補修時期および補修内容を決める上でも非常に重要である。そこで、対象としている構造物の使用を一時的にも中断することなく、非破壊的に検査し、正確に劣化位置及び劣化進展状況を把握することのできる検査手法の確立が望まれている。
非破壊検査法には種々のものが考えられるが、そのうちアコースティック・エミッション(AE)法は材料内部の変化あるいは破壊にともなって放出されるひずみエネルギーの一部である弾性波を検出するという検査法であることから、構造物の時々刻々の動的挙動を容易に得ることができ、構造物全体の検査を行うことができるという利点を有している。そのため、構造物を常時あるいは定期的に監視することによって構造物の劣化箇所およびその進展状況を把握する計測方法としてAE法は現在最も有力な方法の一つであると考えられる。
本研究では、AEモニタリング法によってコンクリート構造物の破壊進展位置を標定することを目的として、鉄筋コンクリート梁の静的載荷時における破壊進展位置標定方法について実験的な検討を行った。従来のAE位置標定においてはAE事象による位置標定が行われているが、この従来の方法では、AE事象個々の重み付けが考慮されていない。そこで本研究では、AE事象個々に重み付けをしたAEエネルギー(振幅の2乗を持続時間で積分したもの)による位置標定を行い、従来行われているAE事象による位置標定と比較した。尚、位置標定は供試体である鉄筋コンクリート梁の形状が細長いことと、その長手方向に対する位置が重要であることから一次元位置標定を行った。

6.結論
本研究で得られた結論を示すと以下のようになる。
1.AE法による一次元位置標定によって、時々刻々、鉄筋コンクリート染の破壊進展位置を捉えることができ、目視による観察では判断できない供試体の破壊性状を知ることができる。
2.破壊進展度を判定する目的では、従来行われているAE事象による位置標定よりも、AE事象個々の重み付けを行ったAEエネルギーによる位置標定の方が有効であると考えられる。
3.コンクリート中の鉄筋の弾性波伝播特性は、鉄筋そのものの弾性波伝播特性よりもコンクリートの弾性波伝播特性に近い事から、位置標定を行う際、コンクリート中の鉄筋に変換子を接着する利点が見い出せない。
4.コンクリート材料の弾性伝播特性として、伝播距離およびひび割れによるAE波の減衰が大きく、100kHz以上の周波数成分の波は伝播し難い事から、大型コンクリート構造物への適用を行う場合には、減衰を極力少なくするような変換子の改善や、フィルターの使用による低周波数帯での受信などが今後の課題であると考えられる。
PDFファイル名 009-01-1091.pdf


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