種別 論文
主題 弾性波フィルター特性によるコンクリート構造物の欠陥評価法に関する基礎研究
副題
筆頭著者 坂田康徳(九州東海大学工学部)
連名者1 大津政康(熊本大学工学部)
連名者2  
連名者3  
連名者4  
連名者5  
キーワード
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先頭ページ 517
末尾ページ 522
年度 1987
要旨 1.まえがき
近年、コンクリート構造物における各種欠陥に基づく構造物の耐久性の欠如が大きな問題となり、構造物の維持管理の面から、その健全性評価に関する効果的なコンクリート非破壊評価法の開発が望まれている。従来、コンクリート工学方面では、測定しようとするコンクリートの諸物性に応じて種々の非破壊評価法が実施検討されてきたが、現在、現場のコンクリート構造物中の欠陥を評価するための弾性波を利用した方法として、超音波法やAE法(Acoustic Emission法)が実施検討されている。超音波法は、主に、コンクリート中の弾性波の伝播速度を利用した時間領域における評価法であり、部材厚やひびわれ深さあるいは内部空隙の有無等を評価する方法として重要視されている。筆者等はAE法に用いられる計測機を主体とする装置による弾性波(又は超音波)の周波数領域におけるフィルター特性(超音波スペクトロスコピー1),2)に等価と考えられる)によるコンクリートの非破壊評価法(ここではEFCMと略記する)を検討している。本方法によるコンクリートの劣化度評価やひびわれ評価については既に報告済みである3)
本報告は、このEFCMによる実施コンクリート構造物内の欠陥評価の可能性を検討するため、発泡樹脂板による人工欠陥を埋め込んだコンクリート横造物(壁体)模型を造り、これを用いて欠陥評価に関する実験的検討を行なうと共に、有限要素法(FEM)を用いて欠陥の埋め込まれている部分と埋め込まれていない部分の弾性波による2次元共振解析を行なって、実験結果との対応を検討したものである。

4、結論
以上、今回行なった実験および解析より得られた結果を要約すると次のような結論になる。(1)、コンクリート構造物内に本実験で用いたような欠陥が存在する場合、その欠陥部におけるフィルター特性には、欠陥に基づくと思われる顕著なピークが出現する。そのピーク周波数は欠陥が壁面に平行に発生している場合、その深さにほぼ比例する。
(2)、壁面に平行に入った欠陥では受信トランスデューサー位置の若干のずれに対するピーク周波数の変化は少ないが、壁面に斜めに入った欠陥では、欠陥の傾き方向への受信トランスデューサーの若干のずれに対するピーク周波数の変化が大きい。故に、欠陥部周辺で受信トランスデューサーの位置を動かすことにより、その欠陥の傾きをおおよそ推定できる。
今回の実験では、欠陥を有する壁体の製作に当たって、欠陥の埋め込み位置や方向に若干のずれが生じたように思える。そのため、脱型後における欠陥の位置や方向の把握がやや不十分となり、測定結果に対する詳細な検討ができなかった。本方法には、まだ、多くの未解決部分が残きれているが、さらに多くの実験を重ねて、本方法の確立に努力して行きたい。
PDFファイル名 009-01-1092.pdf


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